--- 直リンクでのご来訪の方々も居られますので、以後カウンタを本コーナー各頁にも。


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○カメラアダプタ改良!諸問題を克服しましたが、まだ....。(2007/07/27。2007/07/28記。)


偶然にも助けられて、追加出費ゼロで(この点が私には非常に重要です^^)、問題のカメラアダプタをF31fdに適用する上での
諸問題を解決できました(^^)。
PL40mmもカメラレンズとぶつからずに使えます。筒長が最長のPL40mmでも余裕で接合ができるようになったので、アイピース
の交換時にもカメラ側を固定したままで済むようになり、光軸確保が無駄になる問題を含めて、諸問題は解決したと言えました。
(ただし後述の通り、PL40mmでのコリメート撮影の話に限って言えば、まだ問題が残ったのでした....。)

スカイパトロールIIでの星野撮影のトライが一旦保留状態になって久しいですが(なかなか遠征しての撮影までゆとりが回りません
ので...^^;)、EOS20Dとミニボーグ45EDを同架させたいと、実は2台のカメラを1台の三脚に取り付けるための「カメラ並列プレート」
を買っていたのを忘れたままになっていて、先日部屋の大整理時に偶然「発掘」したことを思い出しました。こんなパーツです。





金属プレートに三脚ネジが2つ、1つは位置を大きく調整でき、ネジはそれぞれ三脚孔が付いているので三脚に取り付けが可能、という
パーツです。この固定位置側のネジ孔にカメラアダプタのプレートを貫通したネジを通してしまい、今回追加のプレートの三脚ネジで
それを受けてねじ込み固定します。カメラアダプタのプレートと今回の新たなプレートの肉厚だけではネジを締め上げ固定ができません
でしたので、カメラアダプタのアクリル板を1枚噛ませました。(2枚でないのでそれほど滑りません。)





新たなプレートには念願とも言える摩擦係数向上のためのゴム貼りが為されており、緩む可能性のあるネジ部が1箇所増えたものの
アクリル板を2枚重ねることでの摩擦係数低下の問題が回避できましたので、むしろ固定力は向上しつつ、アイピースとカメラレンズ
の距離調整は、より柔軟性が増しました。新たなプレートの肉厚分でF31fdが他機種より高さが不足している(レンズ中心までの高さが
小さすぎる)問題も解決しました(^^)。カメラアダプタのプレートの上に今回のプレートを重ねる順番がこの点でとても重要です。





カメラアダプタのレール溝の位置をご覧になれば、今回のパーツ追加なしにPL40mmのアイエンド部とF31fdのカメラレンズの先端が
ぶつからずに接続できる余地が全くないこともお分かり頂けるかと思います。

これでついに月面全景をPL40mmを使って、C8とF31fdで撮れることになる筈です。早速、やってみました。






先日のLVZoom8-24mmを使った時のような切れ味鋭い解像感はないものの、眼視での印象に近い、マイルドで自然な印象の月面全景が
うまく写野に収まり問題解決したように見えます。ところが.....。






このようにPL40mmとF31fdのレンズの相性の問題なのか、C8の副鏡の影が写野中央でかなり色濃く出てしまい、月面全景を写野周縁部
にケラレないように、同時に写野中央のこの副鏡の影にもカブらないように、像の位置と大きさをズームやカメラ取り付け位置で
調整しながら、何とか撮ったのが上の月面全景なのでした。

カメラ取付位置の調整を更に進め、アイピースとカメラレンズの距離を調整するなどの工夫で少しは影を薄くできるものなのか、この夜の
試行錯誤では結論が出ませんでした。このままでは満月に位相が向かうに連れ、結局全景がうまく撮れない懸念は完全に払拭しているとは
言えない印象です。これはカメラアダプタの問題というよりアイピースとカメラレンズの相性の問題とも言えますが、ビニールテープ
仮止めでの自作アダプタでは問題が出なかったと考えると、全くアダプタの問題ではないとも言えません。

書いていて自分で分かったことは、つまり自作アダプタ使用時と同じ相互距離をPL40mmとF31fdに取るように、このアダプタで接続
すると良い、ということなんでしょう。

F31fdのズーム倍率を上げ、拡大撮影に入りますと、副鏡の影は意識しないで済みました。しかしそんな拡大撮影はLVZoom8-24mm
を使えば、もっと切れ味のよい画像を得られる筈です。実際、切れ味は前回のLVZoom8-24mmでの画像に比べて劣る印象です。
少し拡大率を緩和して公開します。






まあPL40mmでの撮影は上弦から下弦の月までの太めの位相時において月面全景の撮影にだけに使い、それ以外ではF31fdに対しては
LVZoom8-24mmなど、他のアイピースを使うほうが良い、というのもノウハウかもしれません。アイピースの交換でカメラ側の固定を
緩めずに済むようになりましたから、その運用も大きく今回改善できた訳でもあります。

カメラアダプタの問題は偶然のひらめきもあって、解決に前進がありました。だましだましの運用と工夫で、使いこなせる気もして
来ました。しかし本来、そういうことをしなくても、即使えることを期待して導入したと思えば、汎用アダプタならではの設計の
難しさということを理解しながらも、(カメラ、アイピースの大きさに関しての適合条件などが明らかになっていないこともあり、)
製品のあり方として如何なものか、という印象は変わりません。
本製品を購入されて、同じ問題で困っていらっしゃる方がおられたら、是非今回の工夫をご参考になさって下さい(^^)。



○ご常連様最古参のうちのお1人、じゃみろさんとの面会。(2007/07/31。2007/08/03記。)


今回の関東出張の前日移動の夜に「銀次の部屋」ご常連様最古参のうちのお1人「じゃみろさん」こと中村さんと立川でお会いしました。
時間の都合で職場まではお邪魔できませんでしたが、私がじゃみろさんの職場の近くまで行き、わざわざご営業を早めに切り上げて
頂いての会となりました。(じゃみろさん、ありがとうございました。ぜひまた宜しくお願いします(^^)。)

「銀次の部屋」創成期近く2003年9月から今までの長期に渡り、サイトとメールのネット経由で懇意にさせて頂きながら、今回
「初めまして」とお互いに挨拶するのが、とても不思議な感じがしましたが、会が始まれば、メールなどでの積もる話が堰を切ったか
のようにとどまるところ知らず、という感じでした(^^)。

笑いあり、お互いの自説展開に驚きや共感のうなずきあり、しんみり話での涙ともらい泣きあり...あっという間に痛快な4時間
が過ぎ、翌朝の職務のために確保した大森の宿に戻る電車を心配するような時刻となりました。

世界観や知的水準、審美眼、信頼したい相手への依存度、ジョークのセンスなどが合致するというのは、こんなにも素晴らしいものか、
と改めて感じました。知的会話一点だけでも普段日常生活で枯渇している私としては、その充足度たるや凄いものがありました。
一方、会話に比べてメールや掲示板はやり取りの速度が遅くて、深い概念での認識共有には、如何にまどろっこしい手段であるかと
いうことも実感しましたよ。

私の破顔爆笑状態が尋常じゃないので(ちょっと目つきが自分で怖い^^;)、もっと枚数撮ってましなものを確保しておくべきでした。
でもその場の雰囲気は良く出ています。





今回、iBookに「銀次の部屋」全ページをローカルセーブして持って行き(MacOSX10.3以上でないとW-Zero3[es]が接続不可です)、
本来、公開側である私がどのような画質調整をして画像公開をしているか、そのオリジナル画像をいろいろ見て頂き、じゃみろさん
が普段Windows機でご覧になっている印象とかなり違うことをご理解頂けたのも、とても有意義でした。

天文ガイド掲載状態の木星像とその直下の原画像の差異(銀次の部屋19)や、前の冬の土星像の赤い・赤くないの話(銀次の部屋48)、
2005年度最高峰の火星像詳細(銀次の部屋37)、 前年の木星像最高峰の詳細(銀次の部屋43)、そして先日のF31fdでのさそり座と
いて座周辺の星雲、天の川、ノイズの比較(銀次の部屋51)など、じゃみろさんに驚いて頂ける度合いの大きさが、普段私が主張する
「WindowsRGBという独自方言に加えて、Windows機種のハードウエア上で統一されていない色調整の弊害」の大きさそのもの
であると改めて確認できました。(以下は当時の画像の再掲で、WindowsPC個々で、まちまちな印象となることに変わりありません。)


   



iBook/600が特に緻密なドット間隔のディスプレイを使っている訳ではないと思えば、ToUCamやデジカメなどの色空間と処理・
再生PC機器の色空間が合っていればこんなに緻密な色と詳細情報を再現できるものか、という理解になると思うのです。
当然のことです。色空間設定が違えば、本来機器が得てきた滑らかなグラデーション情報も突拍子もない段飛びや色違いで再生
される懸念もある訳ですから。

せめてWindowsPC機種間でハードウエア上の発色の統一が為されておれば、独自方言だろうが国内でメジャーであるWindowsRGBに
合わせて画像を調整して情報発信する、という選択も大いにあり得るのですが、機種間統一が為されていないので、独自方言の要素も
加味すれば、送り手の意図が再現される筈がないという環境で、色調、階調の是非についての主観論議を国内シェアマイナーの立場から
やらないといけない訳です。非常に不条理な劣勢感ですが、まあそれも如何にも私に似つかわしいという感じも......(^^;)。

まあいずれはVistaを経てWindowsPCもAV機器と同じRGB空間処理をしないといけないようになり、その時には「銀次の部屋」の画像は
「今まで見ていたのと全然印象が違って美しい」と思われる日が来ると思っておきます。じゃみろさんの驚きの度合いはそのことを
確信させて下さいました。

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今回の「想い出の東京の味」報告は、麻布十番の蕎麦です。半日有給休暇を頂いての訪問でした。


 



関東単身赴任時代によく訪れた「更科堀井総本家」に行きたかったのですが、なんと間が悪く「夏休み」中でした。
これはガイドブック程度の情報では分かりませんね。昔、訪ねた時は蕎麦通で有名な大俳優さんが大勢のスタッフと座敷を占有されている
ところに遭遇したりしたものでした。


  



結局、通りの逆側にある「総本家永坂更科」に行きました。実はこの店は大阪梅田のヨドバシカメラ8階にも支店があるのです。
何をやってるんだか、という間の悪さは、「さすがは私」という感じです(^^;)。

結局、梅田でもいただく、更科(実の芯だけ使う蕎麦)である白く細い「御前」と、対照的に全粒粉(殻まで使う)を使った黒く太く
堅い「生粉(きこ)打ち」を頼みました。本店との差を見ておこうと思ったのでした。それ以外のメニューのバリエーションは支店より
かなり豊富でした。昔は平気で両方を余裕で完食だったものですが、食が細くなった今は結構量的には厳しいものがありました(^^;)。
品はほとんど差はなかったです。梅田ではそれぞれにつけ汁(甘・辛)と蕎麦湯がついてきましたが、本店では恐らくひと纏めにして
あったのでしょう。器はワンセットでした。それを確認するのも無粋だと周囲に思われそうで(関西ではそんなこと気にしませんが、
ここは関東、しかも粋人文化の象徴の1つである蕎麦屋です)、店に確認はしませんでしたけど。
薬味が2つ、ちゃんと来ましたしね....(^^;)。

最後の画像は「鯛焼の元祖」との「浪花家総本店」です。昔訪問した時には、よくある回転焼(今川焼)やホットケーキミックスみたいな
生地でなく、もっと薄手のパリパリした生地が印象的でしたが、今回注文するにも予約40分待ちということで、断念しました。
蕎麦の前に予約を入れておくと丁度よかった訳でした。これもまた間が悪く残念でしたが、行かれる方はご参考まで。
(所在地は「永坂更科」が麻布十番駅4番出口近く。「更科堀井」は同じ通りの西奥端。「浪花家総本店」は7番出口から同じ通りに
至るまでの小路東側にあります。)



○笠井トレーディングさんの名機復刻、ワイドビノ28を入手しました。(2007/08/06。2007/08/11記。)


ワイドビノ28がこの日の夜、到着しました。トミーボーグさんでも扱われており、そちらの入荷数30が先に完売したという記事を
偶然見つけて、「限定販売なのだったら、最初からそう告知して欲しかったなあ」と思い、笠井トレーディングさんにメールで照会
しましたら、笠井さん側にはまだ在庫があるとのことで、小遣いやりくりの優先度を変えて、早速手配しました。
そりゃあそうですね。笠井さんの在庫事情まで刻々トミーボーグさん側で見える筈がありません。「掲示板のコーナー2」では、
その早計な状態のまま「在庫切れか?」とその顛末を書いたために、幾分でもご迷惑をかけたのではないかと思い、限定生産でない
なら、じっくり小遣いの余裕のある時に発注すればよかったのですが、お詫びの意味も兼ねて早速の発注としました。

しかし、その後、笠井さんのほうでも初期ロットの在庫がなくなったそうで次の入荷は2007/09月中だそうです。盆休みに空の暗い
ところに行って使うには、上記のタイミングで発注しておいてラッキーでした。


 



早速ベランダと廊下側で空を見ました。光害下の夜空で、雲間にも星が沢山あるのだということが分かって驚きです。
ちょうどF31fdで簡単に星が撮れる、しかも結構な数の星が写っている、という驚きの眼視版とも言えるかもしれません。
星の点像の収束状態も非常に良好で、ベランダから見たさそり座の尻尾の部分の美しさは実に印象的でした。
こうなると、如何にF31fdが手軽に驚異の撮像ができても、この眼視での星空のほうが実物なのですから、美しさの印象で勝てる
筈がありません。

倍率はそれほど高くなく、形状からは想像できないほどの広視野であるために、着脱での視野の印象の差異はそれほどありません。
なのに瞳に比べて対物レンズが大きいので、集光力と分解能だけは確実にアップしており、それが星や夜景の輝きの地味な光ほど
際立たせるという効果を生んでいるのでしょう。
笠井トレーディングさんのHPに記載の「眼がドーピングされたよう」は言えております。F31fdの「他機種より大きなCCDなのに
画素数が少ないがゆえに凄い画質」というのに似ていて、価値観崩壊な魅力がこのワイドビノにもあり、かつての名機が今回復刻
した経緯や評判が、実に納得できる品だと思いました。

星野を眺めるうちに何か郷愁のようなものを感じて来ました。空がまだきれいだった頃の夕方に雲間から星がだんだん見えてくる時
の気分を思い出させてくれるような見え方だからなのだ、ということに少し時間がたってから思い至りました。
星の輝きがとても美しく見えるのです。星がきれいだから見る、そんな基本を思い出させてくれるのがいいですね。
形状の愛嬌さもあって、かなりお気に入りの品になりそうです。 空の暗いところでの使用が今からとても楽しみです。

ネックストラップの取り付け穴などはないのですが、100円均一ショップで買った携帯電話用のものを付けてみました。
邪魔な時は取り外せるジョイント付のものです。ボディがフレーム構造になっているので、このような工夫も非常に気軽にできます。
こんなものでも、手が滑って落下事故に至る危険は充分回避できるでしょう。


 




○大赤斑の位相は良好で、屋上出撃。F31fdとToUCamで木星撮影対決!(2007/08/05。2007/08/11記。)


台風4、5号が去り、長い梅雨が去った後も、この夜まで快晴には一度も至らず、晴れても非常に透明度が低く日が続きました。
この週末も曇天でした。大阪十三の花火大会は今年は音は聞こえども、その透明度の悪さから肉眼では全く見えず、毎年恒例の
「銀次の部屋」でのレポートはなしです(^^;)。C8を出せばきっと撮影はできたのでしょうが、見映えの良い画像にはならなかった
でしょう。

この日は夕方になって晴れてきました。
薄雲はしつこく残っていましたが、この夜は木星の南中時刻前後の時間帯に大赤斑の位相も絶好で、最近までの天候を考えれば
贅沢言ってられません(^^)。 屋上に上がり、撮影をしました。

眼視で確認した木星の輪郭はやはり揺らいでましたが、模様は結構見えました。 輪郭撹乱の度合いが全体像に大きく波及しな
ければ、ある程度の質感の画像を得られるものと思っていました。PCとToUCamProII一式も持って上がり、F31fdとの比較を
やってみました。翌日からの職務への影響は懸念したものの、「F31fdだけで惑星撮影はこなせる」との確信を得られる目的で、
屋上に上がる重装備も、今回限りなら重くないという気分で、一念発起した訳でした。

どちらも可能な限りのピント出しの追い込みをしました。
F31fdのほうがモニタに写る像が小さいので不利とも言えますが、逆に言えば小さいだけピントの芯も感じることができ、
「これ以上の追い込みが必要だと言われるなら、逆に実用的に使いこなせるとは言えない」というところまで毎シーケンス
ごとに合焦操作をやり直しました。結果、どのシーケンスも似た合焦感のデータが残っていることを確認できていますので
この夜の気象条件においては「これ以上の合焦感の追い込みは難しい」と言えそうです。

F31fd+2倍バーローレンズ+LVZoom8-24mmでのコリメート法撮影では25シーケンスほど撮りました。
大赤班が真正面を向く最も良い時刻までそのシステムで撮影をして、次にLVZoom8-24mm+ToUCamProIIでの間接法撮影
で7シーケンス撮影し、再びF31fd+2倍バーローレンズ+LVZoom8-24mmでの撮影に戻りました。

時系列順に掲載します。強拡大画像については併せて縮小画像も公開しますが、画質比較の見地から原画像サイズで公開します。

まずはF31fdです。それぞれ30fps、1700~2000フレーム取得での画像です。衛星が輝度を持ったまま木星面の前に侵入して行き、
やがて木星本体の輝度に埋もれていく感じが分かります。
もう少し衛星像に芯が欲しい感じですが、やや拡散してしまっているのが残念です。








次の1枚は同一シーケンスからもう少し強調処理したものです。詳細が浮き出たものの、再生側PCによっては少し過処理で荒れて
見えるかもしれません。その後、また時系列公開を続けます。







AVIUtl.exeを使ってAVIデータの前後をカットして、少しフレーム数を減らしました(1809フレーム→1306フレーム)。
データは60秒程度なので流れているとは思えないのですが、縞があまりに直線的なので、木星の自転によって模様が若干流れて
しまっている効果についても考えてみました。
が、あまり効果はなかったみたいです(^^;)。つまり縞の直線性は木星の自転で流れた影響ではないと考えます。





大赤班が正面に向くころには、充分な数のテストをしたと見極められましたので、ToUCamでの撮影に移ってもよかろうと判断しました。
ここからがToUCamです。存外、ざらっとした画像の質感です。今までこんな感じだったでしょうか。少なくとも今回の気流条件では、
ToUCam撮影ではこのようになる、というのは事実ですが。7シーケンス全部の処理が終わっており、全て公開します。
取得フレーム数は900~1200前後でした。






次の2枚は撮影レートを常用の24fps→30fpsに上げて撮影したものです。木星の自転により模様が流れることの影響を受けずに取得
フレーム数を上げるには単位時間の取得フレーム数を上げるしかありませんが、走査線が目立つ弊害も見えます。撮影時には木星を
走査線に対して斜めに構図しており、最終的に画像の水平垂直方向を調整したので、走査線が画像の短辺長辺と並行ではないですが。
その2枚以降、また時系列公開を続けます。







間接撮影法ではアイピースとカメラの距離で合成拡大倍率を大きくとれることもあり、上記はLVZoom8-24mmの24mm位置(最低倍率)
です。少しアイピースのズームをアップさせて強拡大撮影をしてみました。気流状態によっては、そのほうが合焦感を追い込みやすい場合
があるのです。若干縮小したものも添えてみます。同様にして、2シーケンスから4枚を仕上げてみました。
後半2枚は撮影データレートを24fps→30fpsに上げたためか、走査線ノイズが目立っています。








そして再びF31fdでの撮影に戻りました。








F31fdでの後半撮影はだんだん南中を過ぎた木星の仰角が小さくなってきて、裏山からの上昇気流の影響を受けたのか、急速に
像の安定性が悪くなりました。しかし後半1枚目を見る限り、アダプタの接続替えなどでF31fdとC8の接続再現性がきちんと回復
できると見て良いようです。

比較すると発色、階調はF31fdが良好で全体に美しいです。ノイズ感も有利です。また気流が安定していた撮影前半では特に
縞の本数も多いですね。でも縞の細部形状などの詳細はToUCamが良く写っているような気もしないではない、という印象です。
ToUcamの像はLVZoom8-24mmの24mm位置(最低倍率)なので、上記の通り、もっと拡大することも可能です。
その一方、F31fdはバーローレンズまで利用して、これが最大倍率です。アイピースをLV4mmに替えるとその倍の拡大率を
得られますが、200mm口径のC8に対して過剰倍率で、像が劣化するだけではないかと思います。
しかし30fps撮影でも走査線ノイズなどが微塵もないという点は、F31fdの強みですね。

縞の検出本数はF31fdの像のほうが多いのですが、妙に直線状なのが気になります。ToUCamの像は縞の本数が少ないものの、
そのような不自然さ(あえて言えばですが)がありません。このような比較をしなければ、それほど気にせず「ToUCam時代より
何だか縞が多く写ってますね」とか言うだけで済んだかもしれませんが....。

F31fd画像は大量にあり、音声データ除去のためのRAD Video Toolsでのデータ変換(Registax処理前段階でのデータ劣化を極力
避けたい思いもあり無圧縮AVIに出力させる設定にしているため、変換後、急に容量が巨大化するので、PCのハードディスク残量
のやりくりも難しいです)などの手間もあり、まだ全てを処理しきれていません。
仕上がり状態がもっと良好となるシーケンスがこの後追加処理で出現して「やっぱりF31fdでの撮影のほうが良い結果が得られる」と
確信できればよいのですが。

結果、現時点では、F31fd、ToUCam両者の優劣に関して言えば「得られる画像の質は全く別物」という今後の択一判断上で最も
困った結論に至った訳でした(^^;)。

ToUCam撮影のノウハウで、縞模様の縦横に画角の縦横を合わせないで、少し斜めにしたほうがCCD特性か走査線記録の特性からか
縞の詳細検出が容易である、というのがありましたが、慣れというのは恐ろしいもので、今回、ToUCam撮影だけ、それをして
しまっています。F31fdは液晶モニタが接眼部近くにあるために、安易に木星像の水平垂直調整をしてしまっていた感じです。
F31fdの「縞が沢山写っているが、妙に直線的で詳細のニュアンスに乏しいか?」の印象もそれと関係あるのかもしれません。

従来からと同一条件で撮影を続けるというのも科学資料蓄積の上で1つの魅力であり「どちらかと言えば、これからもToUCam
で撮影したほうが良さそう」という気持ちもあり、審美眼的にはよりよい魅力的な撮像方法を採用したいという想いもあります。

厄介なのは現時点での判断で言えば「片方があれば片方は全く無くても済むという感じでない」ことです。これはちょっと期待していた
ものと結論が違っていたと言わざるを得ません。このように記事にして並べて見るとF31fdの画像に魅力が多く出てきたのも確かですが、
個々の画像が仕上がったタイミングにおいては、見慣れた効果もあったのか、ToUCamの画像のほうがかなり好印象に感じていたのも
また確かだったのです。

F31fdでの撮影の簡便さは魅力的ですが、肝心な仕上がり画像に「ToUCamを使えばもしかしたらもっと追い込める余地があったかも」と
感じることを無視してまでその簡便さを取る、というのは本末転倒で、さすがにモノグサの私でも「お気軽」をそこまで優先しようとは
思いません。「お気軽」に意味を持つのは、手間をかけなくても「お気軽」で同等以上の成果を得られる時だけのことです。

......うーん。手間は増えますが、やっぱり「併用」でしょうか....。
惑星撮影、特に視直径がそれほど大きくならない今年の火星に対しては、合成拡大率を大きく取れるメリットもあり、従来通り、
ToUCam+PCでの撮影で行くことも捨て難いです。
F31fdは普段の常用と月のコリメート法撮影、無追尾でのお手軽星野撮影だけでも充分価値がある訳ですが.....。
今回の木星像に関しては、私自身は優劣の判断ができませんでした。残りのデータも処理して継続して公開しつつ、「掲示板の
コーナー2」でご意見をお聞きしたいところです。



○追加考察と結論。F31fdとToUCamの対決。(2007/08/05分。2007/08/15記。)


上記のF31fdとToUCamでの木星像の優劣比較についてですが「掲示板のコーナー2」のご常連様はF31fdに好感をお持ちのよう
でした。私個人は決めかねていました。Windows機ではF31fd画像が発色、階調もよく美しく見えるようだ、と私も思います。
ただToUCam画像も画像作成環境であるiBookで見る限りはかなり美しい階調の画像ではあるのです。私が持つWindows機では
2台ともその美しさは再現せず、かなり荒れた汚い色相の画像になってしまってますが....。

なので、少し発想を変えてみます。
次の1枚が当夜、ToUCamで撮ったベストかと考えています。





これに対してそのベストを超えると思えるF31fdのシーケンスが沢山あれば、安心してF31fdを主体に今後撮影できると考えました。
ようやく当夜撮ったF31fdで撮った全シーケンスの後処理を終えましたので、前回公開分も含めて一気に時系列に並べてみます。
上掲のToUCamでのベスト同様、周囲はカットしていますが、対象の縮小化はしていません。


















各像が非常に安定していて、階調、色相ともに良好に思えます。30fpsで走査線ノイズが出ないのも木星のように自転が早くて時間を
かけてフレーム数を稼げない対象には、有利です。その一方、合成拡大倍率がもう少し欲しいと感じるところはToUCamに分があります。
画像がもう少しシャープだといいのですが、これはToUCam画像も同様であり、後半の気流悪化を受けて更に軟調になっているところを
見ると、F31fdの定常的な特質で画像が甘いのだと心配しなくても良いでしょう。

普段はF31fdで撮影し、野心的に強拡大画像を得たい場合にはToUcam+PCも併用するというのが、実用的に見て良いバランスかも
しれません。少しでも気軽に屋上出撃ができるのが、今の職務負荷とのバランスでは何より重要です。大荷物のために、なかなか屋上に
上がる気力まで至れない、では不本意な話ですから。

ちなみに当夜のベスト画像は次の1枚でしょう。それらがF31fdによるもの(上掲5シーケンス目)である、ということで、今後の
メインがF31fdである、という結論はまず妥当ではないかと考えるようになりました。先日の公開にはなかったシーケンスのもので、
今回追加処理して、上掲での全比較後、改めて以下をBMP画像から仕上げ処理し直しました。






結論が出た後は、上掲のToUCamでのベスト画像と比較して、階調、色相、詳細感、いずれをとっても優位である、と見えてくるのは
不思議なところです(^^)。

勿論、F31fdも撮影後半には気流悪化を受けてどんどん画像が軟調化して行ったところも上掲から理解できるのですが、この夜ToUCam
だけを使っていたとしたら、同じ気流条件で、このベスト画像の質には至らなかったことも、恐らく確かだろうと思えるのでした。

このことはとても重要です。同じ気流状態下でもF31fdを使っているほうが、更に良い結果に遭遇できる、ということなのですから。
そのことを今回の追加比較で確認できたように思えます。

また、上掲全28シーケンスを通して分かる別のことは、NexStar架台が自動追尾とはいえ、経緯台モードで追尾するために、時間経過と
ともに撮影開始時に調整した水平垂直が地球の日周運動により傾いてきているので、奇しくも「F31fdを傾けて取り付けているほうが
ToUCamでのノウハウと同様に模様の詳細をより検出できたかも」というのは、F31fdについては、あまり当たらないということです。
むしろ気流による軟調の影響が大きそうですね。なら追尾修正がし易いように、対象天体の自転軸垂直水平と画角の垂直水平を合わせて
撮影するほうが良さそうです。これは予期せぬ同時検証となりました(^^)。

しかし、途中でToUCamに接続替えをしたのに、日周運動の影響で木星が傾いて行く傾向が、まるで連続しているのが不思議です。
NexStar架台の水平垂直におおよそ合わせてF31fdをセットしているのでしょう。そうであれば、途中でToUCamに接続替えしていても
同じように傾いていく感じが原画像に残るという訳なのだと思います。






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