--- 直リンクでのご来訪の方々も居られますので、以後カウンタを本コーナー各頁にも。


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○また雲が.....。木星と月。(2007/06/30。2007/07/01記。)


前頁最終の最悪な気分の中で、逆に家事協力の気遣いも一切放棄して、自室の掃除だけ済ませた後は、夕方まで雲がちながらの
晴天にC8を温度順応させていました。木星の大赤班も20時過ぎに見映えがよくなる予想でしたので、開き直り気分でベランダ設営を
強行しました。が、また設営完了後、雲が集結してきました。ベランダを使った事実だけが残り、収穫はなし、という最悪の展開は
当夜の気分には最も望まないものでした。(まあ普段も望みませんが。)

待機中にF31fdで撮った夜景です。月も木星も写ってません。前頁冒頭のEOS20Dでの撮影と同様に、F31fdをベランダの手すりに
置いての撮影です。なかなか善戦してますね。





ACを部屋から引くなど全然相談する気にもなれませんので、電池駆動にしていましたから、雲が切れるのを確認して、NexStar架台の
追尾設定をしては、雲が木星を邪魔するたびに電源を切って、また雲の行き先を呆然と眺める1時間が過ぎました。
結局、近くにある筈の月さえ見えず、設営から1時間半、忍耐をやめ撤収に入りました。C8一式を残して全部撤収し、C8を回収に
ベランダに出たら、月が見えました。雲行きを見ると急速に雲が去るように見えました。ただ高空の薄雲は決して去る印象ではなかった
のですが。

もう既に木星はベランダの屋根にかかっていました。再度、架台の設定をする前に少し三脚の高さを低くして水平調整をやり直し、幾分
でも屋根のかかり具合がましになるようにしてから、手早くC8+F31fdでの木星撮影に入りました。当夜はアイピースをLV4mmに替えて
先日より縦2倍横2倍の画像を得るトライをしました。しかし高空の薄雲のせいか、気流は思ったよりよくなく、その上C8主鏡の3割
ほどにはベランダの屋根による口径食が始まってました。実効口径200mmの分解能はなく、建物壁からの廃熱の影響も出ていたかと
思われます。合焦の芯もなかなかF31fdの画面で掴みにくかったです。

ただもうそれから全部屋横断して、機材一式を屋上に上げるドタバタはやりたくない気分でした。4シーケンス撮ったうちの3番目だけが、
かろうじて合焦がましでした。先日の像を後処理で単純拡大したかのような、締まりのない仕上がりとなりました。
1965フレーム合成です。C8+F31fd+LV4mmでの撮影です。

右方に衛星が2つうっすらと見えますか?。
見えないPC、探さないと分からないPCは輝度・階調調整をお勧めします。ちなみに私のPC環境で「新高速PC」ではほとんど見えません。
バッテリが生きている「元低速PC」では、はっきり見えます。どちらも近接した年代産の同じ国産メーカのWindowsPCです。このことを
毎度毎度、WindowsPCの色相・階調について再生側に問題があると言及しているのでした。





少し縮小してみました。





光学系の能力的に拡大率が過剰なのか、気流のせいなのか見極めができないのが残念です。
この拡大率でも今年の火星では不足になることが分かっており、そろそろその見極めをしておくのが重要なことなのですが。

雲や屋根による口径食がなければ、もう少し期待通りの画像になっただろう、などと皮算用の推察を今回もしないといけないのが
歯がゆいです。梅雨時という事情に限らず、今年は夜の間ずっと晴天だった日はどれくらいあるのでしょうか....。

大赤班がもう少しの間、見えているにもかかわらず、屋上への移動はとてもできる心理状況でなく、そのまま朧月を撮影することに
しました。コリメート法撮影はCoolPix5000(E5000)の独壇場でしたが、CCDサイズの差はさておき、超低ノイズの630万画素である
F31fdには、やはり期待したいというものです。(E5000は500万画素機です。)

そして、その期待は裏切られませんでした。カメラアダプタの問題だけ解決すれば(当夜も先日同様、ビニールテープでの仮止めで
撮影しました)、ミニボーグでの撮影も含めてコリメート法撮影はE5000からF31fdに役割交代しても良さそうです。
そしてそれは重量的にブレ防止の見地でも、今回、従来より合焦ハズレのコマがかなり減ったことでも、より撮影に有利に働きます。
それらの効果あってのことか、E5000との組合せでC8での月面静止画像の印象より、かなり緻密な繊細感も向上したように感じます。
銀次+E5000での「巨大な岩盤の塊」の月面印象も充分感じます。高空の薄雲で朧月状態だったことを考えると、これは驚異的です。








さすがに最後の強拡大は過剰倍率で解像感がよくありません。それはC8+F31fdの合成光学系の限界なのか、当夜の薄雲のせいなのか
確認するには、この接続状態のまま、F31fdをムービー撮影モードにしてRegistax処理して見れば、よいのかもしれないと考えました。

これは存外、軽快でした。コリメート法の静止画像撮影と、そのまま合焦状態で動画スタック撮影に切り替えられることは、期待も
しなかった軽快さを撮影の場にもたらしてくれました。何せF31fdの軍艦部のモードスイッチをひねるだけですから(^^)。
デジカメからToUCamへの撮影機材の付け替えが不要になるだけでなく、ToUCam撮影では間接撮影法なので、合焦操作はやり直しに
なり(カメラレンズが介在するコリメート法と介在しない間接撮影法では合焦位置は全く異なります)、その手軽さは比較になりません。





濃厚と言えるほどの凄い解像感です。気流が良ければ、静止画像でも、もっと高い解像感を得られると実感しました。
Plato内の小クレータ検出のために、もう少し画像処理を強調してみます。





いずれも1658フレーム合成です。アイピースはLVZoom8-24mmに替えました。
小クレータはいくつ写ってますかね。4つ?この気流状態では充分満足な成果で、静止画像撮影からスムーズにこの撮影に入れる
ことの軽快さは、事前に期待もしなかった楽しさを撮影現場に与えてくれました。

その一瞬の楽しい気分も、撤収して一式を部屋に持ち帰る間に、しぼんでしまった感じがします。
ベランダで得た予想外の楽しさは、ネットの先にしか共有される受け皿もなく、現実世界の陰鬱の中に消えていくのでした。
なかなか寝付けないで、撮影の後処理とこの執筆をやっています。あまり度が過ぎるとまた眼に「ものもらい」が出ます。
今年は春先から3度も発症しました。週末に自分で部屋を入念に掃除しないと、発症するのです。部屋がカビの温床にでも
なっているのでしょう。空気清浄器は全く役に立っていません。眼科では「酷く身体の抵抗力が落ちている」と言われました。
それはまあそうでしょう。ここまで精神生活の日常が攪乱されれば当然のこととも言えます。

そろそろ一銭の得にもならない趣味機材のいずれかを整理して、自分の健康のためにも、自分の存在を否定するかのような家族を
背負うためにも、住環境を整理せねばならないのだと、今、置かれている状況が私に示唆しているような、そんな印象です。



○月面全景の再処理と追加。(2007/06/30分。2007/07/07記。)


上記の月面全景画像は妙に球状の立体感があって気に入っているのですが、解像度的には他の画像よりかなりマイルドでした。
画像強調も良し悪しですが、他の画像の仕上がりにあった感じにも再処理してみました。縮小率も少し抑えめ(=大きくした)こと
もあって、F31fdの性能によって、恐ろしいほどの情報をC8から抽出できていることが分かります。
C8の性能の良さも再認識しました。(銀次、危うし.....^^;)他にも別のカットも併せて公開しました。







この撮影をした夜以降、ずっと天候がよくありません。梅雨だからということもありますが。
今夜は七夕です。まあ天文学的には意味がないのですが、多くの人にとって、年に数えるほどしかない「夜空を見上げる機会」が
流れてしまったのは、やはりこの趣味に携わる者としては残念です。
水害に遭われているところもありますので、そういう被害がないだけ、文句を言う筋合いもないのかもしれませんが.....。
(被害からの早々の復旧をお祈りします。)



○HPアクセス100000記念(?)....といいつつ雨ばかりでネタがありません(^^;)。(2007/07/11記。)


ついに本日(2007/07/11)、ホームページアクセスが100000を超えました。「銀次の部屋」に来て頂く皆様のおかげです。
「銀次の部屋」開設以来の快進撃と言えますので、実質2003年4月から4年半、大きな節目を迎えることができました。
ありがとうございます。これからもどうぞ宜しくお願いします。

記念にドカーンと驚きの画像を公開したいところですが、ずっと悪天候のままです。そういう記事ネタなしの時、恒例の
お茶濁しなんですが、旅先での食べ物レポートなどを....(^^;)。

7月初めに戸塚-大森出張があり、遅い宿への戻りの後、コンビニ弁当を食べつつ「なぜ関東出張の時は折角の一泊出張
でも食生活がいつもこんな地味?」とか思い至り、そう言えば「私にとっての懐かしの店」のレポートなどを漏らしていた
なあと思った次第です。

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なので、本段落は最近プライベートで浅草を訪れた時の話が埋もれていたのを、今回思いだして引っ張り出してきたものです。
公開当初は訪問経緯を詳細に書いていました。しかし後で読んで経過が意味無く詳細に至る印象など、あまり自分で感心しない
ところもありました。本段落の趣旨に対して、これ以上の背景説明は必要なかったと反省した次第です(^^)。

私が勤務する会社の親会社メーカグループと全く関係ない独立会社に、訳あって(企業文化的には極めて珍しいことなのですが)
単身赴任して巨匠モンキーパンチ先生作のアニメ付き教育娯楽CD-ROM「坊っちゃん」を作ったのは1998年。もう今から9年前です。
(画像は当時職務で使っていた宣材画像です。既に販売終了の上、自社名も変わってしまいましたので社名表示部分も消しました。)


 



いろいろな方々にお世話になった当時の記憶が今では不確かになったほど遠い印象であるものの、その後の9年もあっという間
でした。....道理で歳食う訳です(^^;)。

そのころに何度か訪れた牛鍋屋「米久本店」にこの時行きました。近江牛の上質肉を食べさせる店にしては、まだ比較的安価と
言っていい価格の店です。(ちなみに近江牛は美味ながら関西ではなかなか口に入りません。地元そのものは別として、後は近畿
から関東まで流れていくのを、わざわざ近畿から来て食べる訳ですね。9年前には非常に不条理に思えました。^^)

店は「ひさご通り」を入ってすぐのところにあります。古い肉屋のようにも見える店構えで、入ると2階建て店内が全て座敷に
なっていて、時代劇のセットのような雰囲気があります。箸袋には「百年の老舗」とあります。本当に「文明開化」で肉食の習慣
が日本に定着した頃からある店なのかもしれません。「牛鍋」というのは、その当時流行った食物のようで、新選組当時
(ネットでは「新撰組」という書き方ばかりですが、研究者の書籍では「新選組」と書かれる方が多いようです)の時代劇、映画
などでもよく出てきます。以前からそんな雰囲気が好きな店でした。

ちなみに関西で安価に「牛鍋」を出す店では輸入の冷凍肉を使うために(コスト上当然ですが)この店の味わいには程遠い全く
別物の印象があります。(「牛鍋なんて関西にもあるだろう。たかが牛鍋で何をそんなに騒いでいる?」などと思わないで下さい^^)。


 



入店すると、歓迎の意味で、この大太鼓を「ドドン」と叩いてくれます。写真では大きさが分かりにくいですが、うちわが普通の大きな
サイズですので、それと比較すると太鼓の大きさもかなり大きな物だとお分かりになれます。何だか嬉しくなりますよ(^^)。


 



過去訪れたときは閑散として、ほとんど貸切状態でしたが、今回は観光の団体が昼食に来ていたようで、かなり騒々しかったです。
いつもお決まりのことですが、今回も「団塊おじさん」が、高い肉(....まあ私にとって高価なだけかもしれませんが)を前に、
その話はしないで、家の配線工事がどうしたとか、従業員の誰がいかん、とか、を目の前の人と話するには大きすぎる声で、
途切れることなくまくし立てます。耳が悪い訳ではなさそうです。相槌を打つお連れ様の声は控えめで聞き取れませんでしたが
会話は成立していましたから。結局厚かましさの問題だと思います。私も時間の余裕がもともとなかった上に、そんな「騒音」の
中ですから、味わえたものではありません。その店で最上級の「トクの牛鍋」を(ってメニューは「トクの牛鍋」と「上の牛鍋」しか
なく、その差は数百円なので、せっかくなら、と選んだのですが)頼んだのは、またいつここに来れるか分からないから、という
こともありました。

霜降り牛肉4枚ぺらで3790円(^^;)。私が過去を通して昼食に奮発した(恥ずかしながらこれでも^^;)最高(タイ)記録額の食事は、
何だか甲斐のないものになりました(T_^;)。





本当は庭に小さい滝などの作りもあって、静かな佇まいの中で頂く店かと思うのです。若いカップル客などはみんな実に静かに食事
されてました。「このおっさん1人さえ居なければ....」という状況によく頭を痛めます。昨秋の「宝泉院」(銀次の部屋47参照)もそう
でしたし、普段も実にそんな目によく合います。


  



まあそれでもそういう興ざめが無くても、何だか期待したよりも、以前の記憶より、味わい深いとは思いませんでした。
9年前には「良い牛肉というものは、これほどに旨いものなのか?」と脳内快感物質が頭の中を充満したように思い、それがずっと
忘れられなかったのでした。今回はその感激があまりありませんでした。

店自慢の近江牛の質が落ちたのか、私がこの歳食って味覚が変わってしまったのか、それともこの9年、当時よりもっとましなものを
食べるようになって舌が肥えたのか....。一番後者が真実と思っておきたいです(特に真ん中は真実でないのがいいなあと思います^^;)。

何だかお勧めなのか違うのか分からなくなってしまった感じですが、近くに行かれたらぜひお試し下さい。わざわざ関西から行く
ほどのお勧めとは言えなくなった、という程度で、その原因も私自身かその団塊おじさん1人のせいなのかも知れませんしね。

仲見世も横切りざまに撮影した程度で終わりました。画像は帰路に走り歩きながらのスナップです。今回は別途都合であまり時間の
余裕がありませんでしたので、ゆっくりの見物は次の機会にしたいと思います。


  

 



また機会を見て浅草は訪れたいと思います。大阪、京都の雰囲気とは全然違い、話し言葉の響きなどもそこから最も遠い街にも思え
ますが、古い良いものがしっかり残っていること、新しいものと雑多なまま共存しているところ、などが似ているのか、特別自分から
なじみたくなる何かがある街だと思います。

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最後は出張の度に新幹線車窓から撮影する富士山です。これは7月初めの出張時のもので、夕方に大阪堂島での残業対応のために
日中移動した際のものです。冠雪が少なくなりました。富士山も夏です。
惑星撮影のための気流安定だけがいつまでも冬のような荒れた状態が続きます。安定するのはいつのことでしょうか(^^;)。






○久々のやや晴天。しかし...。(2007/07/19。2007/07/19記。)


職務での遅い帰宅と悪天候が続きます。7月度上陸としては最大規模であるとの台風4号が通過したと思ったら、大地震のニュース
もあり、天体写真が撮れないくらいを不満に思っている場合ではないのでしょう。しかしいつまではっきりしない天候が続くの
でしょうか。

この日は夕方久々に日差しがありました。このまま晴れてくれるといいなあと思いつつ、若干早めに帰宅しC8を温度順応させて
いました。月が裏山に低く残っていましたので、先日届いたMeadeの「デジカメアダプタII」のテストを兼ねてミニボーグとスカイ
パトロールII、F31fdで先に月面を撮りました。

しかし設営準備完了と同時に雲が出て絵になりませんでした。





上の一枚はこれでもかなりの枚数を撮った上での一番ましなものです。それを徹底的に後処理で追い込み、何とか仕上げましたが、
それでもがっかりです。(Photoshopでのレベル処理、アンシャープマスク処理にNeatImageでのノイズ低減と輪郭強調を実施。)





雲や低空気流のせいだけなのか、他に要因があるのか....。デジカメアダプタIIは今までの自作簡易アダプタよりかなり使いにくいです。
アイピース側の光軸確保は厳密にできているようですが、カメラ側が三脚孔だけでの固定なので、確保した光軸にデジカメレンズの
光軸をじっくり合わせることが難しいですし、軽い衝撃や圧でデジカメが三脚孔を中心に回転してしまい、合わせた光軸からデジカメ
が簡単に外れてしまいます。

合焦面が不均一な印象はないので、それほど光軸は狂ってないとは思いますが、解像感のやや甘い印象が気に入りません。
自作アダプタはビニールテープでUR-E6をF31fdに仮固定しないといけません。常用カメラでもあるF31fdですので、次回撮影時
までUR-E6を仮固定した状態のままに置いておくことができませんから、天体撮影専用のF31fdを用意しない限り頻繁には
使えません。しかし軽快さにおいては自作アダプタは格段に違います。UR-E6にアイピースアダプタをつけてアイピースに取付ける
だけで全ての光軸を確保できますから。(ここがビニールテープの仮固定以外はほとんど専用品の組合せならではの強みです。)

アダプタへの不慣れのせいで月面画像の質が落ちたなら、木星など惑星写真への影響も甚大です。
ただ当夜の印象では判断ができません。恐らくは雲による減光の影響が画質低下の全てだと思うのですが....。
画像の粒状性もあまりよくありません。ISO800で何とか絵になりました。それほど光量が不足だった訳で、これでもF31fdならで
こその仕上がりとも言えるのかもしれません。追尾撮影でしたが雲の影響が流動的だったため、光量ムラで画像が汚くなることを
避ける上で長時間撮影は事実上無理でした。

木星の大赤斑が見える頃には全天曇ってしまい、またF31fdでしっかりした木星画像を撮るトライはお流れになりました。
ずっとこのところ、雲の影響だとか気流の影響だとか、不本意の原因を憶測で語る状態が続きます。
やはり、そのことを不満に思い、うんざりしてしまいます......(^^;)。



○長い梅雨明けもようやく終わり。久々に平日の屋上出撃。(2007/07/23。2007/07/26記。)


長い梅雨もようやく終わりのようです。この日の午後から大阪は急速に晴れてきました。明らかにそれまでと違って空気の乾燥感
が違いました。気象庁の宣言は1日後でしたが、実質このタイミングで大阪周辺は梅雨明けしたのでしょう。

この日は週明けの月曜日でしたし、木星の位相は(あくまで、うちのローカル門限との比較ですが^^;)大赤班向きではありません
でしたが、C8一式を持って屋上に出撃してみました。夜景の透明度も全然違いました。

梅雨明けしたからって次の夜も晴れるとは限りません。むしろその逆に「梅雨明けしたんじゃなかったのか」とか「なんであんなに
昼は晴れてるのに」とか空に向かって悪態をつくことの方が経験上多いと思えば、絶好条件の夜には出撃が是であります(^^)。





これだけ強烈な夜景だと星空もかすみそうですが、この夜は低気圧一過の快晴ということもあり、透明度がとても高かったです。

まずはC8とF31fdをMeadeデジカメアダプタIIでつないで月面撮影から入りました。
このアダプタ、いけません....(^^;)。その話の詳細は後で纏めますが、とりあえず当夜現場で起こったことを先に....。
C8は主鏡焦点距離が長いために同じアイピースを使っても倍率が高くなります。そのため月面全景を撮影するにはVixen PL40mm
を使って来ましたが、このアイピースは胴長が長く、このアダプタを使うとF31fdのカメラレンズがアイピースに当たって使えません。
このアダプタにはいろいろ問題がありますが、この点、私にとっては致命的です。困ってしまいました。

やむなくLVZoom8-24mmを使って、何とか構図を工夫して一画面に全景が収まるようにしてみました。
月の位相が半月だったので何とか収まりましたが、これ以上月の位相が進む(太くなる)と、全景は絶対収まりません。








しかしこの描写。どうですか?凄い切れ味です。F31fdの画質性能向上の要素も勿論あるのでしょうが、それと相まってきっと
C8+LV8-24mmとF31fdの内蔵カメラレンズの相性も良いのかもしれませんね。
同じ追尾架台とアイピースを使っている訳ですが、E5000時代にはここまでC8主鏡の性能を引き出せていなかったように思います。

その一方、カメラアダプタでの光軸調整が不完全だったためと思われる、像面の合焦感の不均一さが残念です。合焦部分での
像の切れ込みは物凄いですが、合焦部分から離れるにつれ、像が流れた印象があります。合焦部分が必ずしも画像の中央部では
ないので、主鏡光学系の収差の影響以上に、アイピースの光軸に対して完全にF31fdを据付できていなかったことが考えられます。

光軸の不完全性は後処理時点で分かることで、現場では察知できず、そのままの接続状態で木星撮影に入りました。
アイピースとカメラレンズの相互位置を動かすと再調整にかなり手間取るからです。バーローレンズはアイピースとカメラレンズを
アダプタに固定したまま到着追加できますので、この点は問題ありませんでした。
(写野位置によっての合焦性の不均一は、木星像が月面像に比べて小さいので、それほど問題にはならないとは思えます。)

既に長い梅雨の悪天候の間に木星シーズンはピークを過ぎていたのです。この時間帯には既に南中を過ぎており、元々見かけ高度
が低い今年の木星ですが、うちのマンションの西から北に広がる山の影響もあって仰角は非常に小さく、気流は荒れ荒れでした。
ジェット気流予想では全くの凪状態の筈が、がっかりです。







画像は縮小なしです。かろうじてようやく木星像としては充分な像の大きさは得ました。これで今年の火星も後処理で若干大きく
してやれば使えるのかなあという感じはします。しかしこの像質ではストレスがたまりますね。
(火星の仰角は木星ほど低くはない筈ですが....。)
大赤班があれば、もう少し印象は締まったかもしれません。この夜は01:30頃に見映えがよくなる予定でしたが、うちのローカル
門限との兼ね合いもあり、南中を過ぎて見かけ高度が下がっていく一方だったこともあり、大赤班がないことは承知での出撃でした。

まだまだF31fdをToUCamProIIの代わり以上のものとして惑星撮影に使えるという確信(画質上での満足)に至りません。
世間ではもう現時点最新のデジカメ動画像からのスタック処理がToUCamProでのそれより優位であるという評価も定着して来ている
と聞きますので、この足踏み状態は何とも歯がゆいです。(ちなみに大赤班の位相がうちの事情向きだった次の夜にも屋上に出撃
しましたが、遅い帰宅だったこともあり、例によって雲の幕引きにやられました。)

急激な天候の回復後だったので仕方がないとも言えましたが、風がきつかったです。特に山の中腹のマンションの屋上というのは
平地では考えられないほどの風が吹くものです。
木星撮影の瞬間だけ、やたらと風が吹き、動画像の質が落ちました。木星撮影の瞬間だけ、というのは恐らく超高倍率に拡大撮影
しているから、風での光学系のブレや揺れの印象が強まったのでしょうが、どうもそれだけではなかったような.....。
と言うのは、あまりの強風に撮影続行をあきらめて次の作業に入ったら、風がやみましたから(^^;)。
一旦、外した光軸調整を戻す手間もかなり大変なのと、現場ではある程度のデータを撮ったつもりでしたから、木星撮影への
復帰はしませんでした。

この後、F31fdの「写ってるのは星かノイズか」の件の続きの撮影をしました。
本件については「星である」と既に結論が出ていましたが、明快な星座の形や星雲、星団を撮れれば、天文関係にお詳しくない
方にも、写っている主な輝点がノイズでないと明らかにできるという宿題が残っていました。
近くに月も出ているのに、その宿題をやる気になるほど、この夜は空の透明度がよかったのでした。
マンションの東南側に当たる大阪平野の光害の状態は冒頭の画像でも明白ですが、そのほんの脇の南西の空にさそり座やいて座
が見えました。ISO400で最大15秒露出の固定撮影で何カットか撮影してみました。月は露光オーバーになっています。
光害のため、いて座やさそり座の形が肉眼できちんと見える夜は、うちのあたりでは本当に珍しいのです。
F31fdの画像にはそれらの形がしっかり写っているだけでなく、その周辺にあるM7やM20、M21などまでが写っています。








「kakaku.com」に「ローノイズ性を活かして簡単に星が写る」と投稿した時に「自分のデジカメでも押し入れで長時間露光したら
無数の星が写る。私の押入れは大宇宙とつながっているのでしょう。冗談はさておきノイズだと考えます。」と評論なさった方
もこの事実を見て頂きたいものです。(まあそういう方に限ってご覧に戴いてないとは思いますが^^;)
その方が指摘なさっているような、デジカメの「イロハのイ」程度の常識もなくて投稿した訳ではなく、むしろそれを踏まえてこそ
の大驚異で、同サイトのオーナー様各位と驚きと喜びを共有したいという想いからの投稿だったのでしたが、「ダークノイズを
星だって。これだから素人は困るよなあ(苦笑)」とか思われたんでしょうね....(^^;;)。

2枚目の画像ではここでの話題提供のためもあって若干目立つように仕上げてみましたが、微細な星かノイズか分からない白点
が多数あって、それらを強拡大して確認すると点状になっていないものもあります。
だからといってそれがノイズである、とも言い切れません。独自のハニカム形状のCCDのエッジに光がケラれて点像に写るべき
ものが変形して記録されているのかも知れませんから。
まあ所詮、このカメラで撮れる星野写真にそこまでの強拡大での画質検証というものが「そぐわない」と考えるべきです。
怪しいものは後処理で目立たなくして、星座の形、および明らかに存在が確認できる星団・星雲が際立つように調整の上鑑賞する
のがよいですね。

その例を添えてみました。ノイズを意識的に残した上記2枚目の画像においての、木星、アンタレス付近の縮小なし(630万画素等倍)
サイズ(周囲をトリミング)を、かなり無理にノイズ強調したものが下左です。この全部が星である訳はないです。ただ形状が点状でない
からと言って、全てがノイズかは分からないということです。そのことと、このF31fdが本当にお手軽星野撮影に使える、使えないの
問題は全く違う問題なのです。つまり下右のように後処理でノイズと判別が難しい対象は調整してしまえば良いということです。
これは等倍画像なので、ここまで暗調にしましたが、実際は画像を縮小して使うことになるので、ここまでノイズを消し込む必要は
ないでしょうね。





オリジナル画像の時点で既にノイズ感は下右に近いものです(次例:周囲トリミング以外無加工)。元々素晴らしいバランスで星野
撮影のようなシビアな低照度画像も記録できるようにこの機種は設計・チューニングが為されているのでした。見た印象以上に星野画像
らしく後処理で仕上げる過程において、処理の度が過ぎるとノイズは目立ってくる程度のものですが、同じことを他のコンパクトデジカメ
でやるときっとうまく行きません。
これはCCDの面積に対して画素数を630万しか使っていないという、逆に言えば1画素サイズの大きさ確保にとって見れば、極めて
贅沢な構造(独自開発の画素の開口率アップ形状も更にその効果を上げています)のCCDを採用することでの本機だけの特徴と言えます。
このサイズクラスの同メーカでの併売機種もここまでの特徴には至っていませんので、現行製品では全メーカ通して唯一と言えます。





唯一、同じCCDを使った一眼レフ型「ネオ一眼」はありますが、それを使うなら私の場合、EOS20Dを使えばよいことになります。
コンパクト機でも露出時間と同じ時間を直後にかけてダークノイズ演算をしてノイズ除去する「高級機種」(銀塩派に人気があります)
もありますが、星雲など淡い天体のニュアンスが飛んでしまうのではないか、とも私は考えています。E5000はその通りでした。

3、4番目の画像ではそれらのM天体の背景にうっすら天の川が見えています。(毎度ながら見えないPCは階調調整をお勧めします。^^)
冒頭の光害の脇にそれが写っているのは、やはり驚異です。今回、1度で屋上への運搬ができるように機材を纏めた関係もあって、
常用の写真三脚を屋上に持って上がれませんでした。なので、撮影はカメラアダプタにつけたまま、F31fdだけを空の方向に
捻じ曲げたり、屋上の地面に置いてキーホルダーなど小物でレンズの仰角をつけてセルフタイマー撮影をしました。

それだけで光害の空の下で、これらの水準の星野画像を得られるのでした。
このF31fdだけを観光写真用に持って旅行に行き、星が意外にきれいなので、ちょっと撮ってみたら、美しい想い出のままに星空
さえもが記録できる、そんなことができる未来がいつの間にかやって来ていた、と言えるでしょう。

画像のどこにM7やM20、M21などがあるのかお分かりにならない方のために上記の画像を元に解説図を加えました。
ネット上でも星座早見やフリーソフトのプラネタリウムソフトがありましょうから、それらとの比較をなさって見るとその合致性に
きっと改めて驚かれるに違いありません(^^)。






ようやくF50fdが出るようです。1/1.6インチ型CCDと機能デザインはF31fdでなくF20-F40fd系統の後継機種と言えます。
販売力優先の形で「CCDシフト式手ブレ補正付、1200万画素機」となり、1画素あたりの大きさは半分近くに落ちました。
ここまで懸念が当たるとは....(^^;)。ついでに、なぜか動画も30フレーム/秒から25フレーム/秒に格下げです。多くのF31fdファンに
とって、これを「改良」と見る人は極めて少ないのではないかと思われます。とにかく没個性な機種となってしまいました。
F31fdの在庫があるうちに、導入検討をお勧めしたいものです。(F40fdの時のようにF31fdはこれからも併売されるのでしょうかね....。)



○Meade「デジカメアダプタII」の件。F31fdとの相性は最悪です。(2007/07/26記。)


Meade「デジカメアダプタII」の「その他の困ったこと」に関しては「掲示板のコーナー2」の[973]にすでに情報を纏めていましたが
掲示板では早く情報位置が流れていくので、ここに纏め直したいと思います。
上記のPL40mmを使えない件が私にとって最も致命的な点ですが、それ以外にもこのカメラアダプタはF31fdに適用するには、
いろいろ問題がありました。

2007/07/19付の記事に「軽い衝撃や圧でデジカメが三脚孔を中心に回転してしまい、合わせた光軸からデジカメが簡単に
外れてしまいます。」と簡単に現象を記述しておいた件ですが、状況は以下の通りです。
どうやらこのカメラアダプタの設計時に想定したコンパクトデジカメのボディの高さ(正確にはレンズ中心の底面からの高さ)
よりF31fdのそれが低くなってしまった想定外の事態のために起こった現象と言えそうです。
(このアダプタのWeb宣材写真がいまだにかなり旧式のフジフィルム製縦型デジカメを使っている理由が逆に納得です^^;)





(a)私が常用しているアイピース、LVZoom8-24mmが特別太巻きだからなのかと思ってましたが、矢印部分のネジ頭が
 アイピースにあたり垂直調整のローエンド位置までアダプタを調整できません。そのためもあってカメラレンズ中心位置に
 アイピースの光軸中心の高さを持って来れません。

(b)ところがアイピースが手持ちの最も細身の笠井Or12mmでも(バーローレンズ装着時も)やはりネジの影響でわずかに
 無理なことがわかりました。(画像ではOKに見えますが実は少し高さが足りずモニタには写野中央が確保できていません。)
 そのためこの現象は「アダプタの設計前提よりF31fdの高さが想定外に低かった」事態だと私は考えました。

(c)そこでレール取り付けネジとカメラ取り付けネジの長さが違う(ネジピッチは同じ)のを応用して、カメラ側に長いネジを使って
 みました。そのことでアイピース側のネジは短くなり、ネジ頭がアイピースに当たる(a)の矢印部分の現象は回避できます。
 ところがカメラ側でネジ長が余ってしまいアクリル板を挟まないと締めこめなくなる訳です。アクリル板2枚あればアイピースと
 カメラレンズの相互の高さ調整はできました。

(d)しかしレールとカメラの密着面積が減ること、アクリル板表面の摩擦が弱いことから、少しの圧や衝撃でカメラ側が回ってしまい
 光軸がズレてしまいます。撮影開始後、状況が安定すれば、回転による光軸ズレも気にしないで済むでしょうが、設営時での
 対象導入までとかアイピース交換時に、これはなかなか手間のかかる要素となります。

できれば工夫して使いたいと思っているこのアダプタですがPL40mmが使えないこと、アイピース交換で設営時に手間をかけた
光軸調整が台無しになることなど、「こんなことなら最初から自作の工夫で行くべきだった」と思わせるに余りある品です。
繰り返しますが、それはF31fdに適用した場合で、適合性の高いデジカメはあるんでしょう。ですがそろそろ現時点のトレンド
の大きさのデジカメにフィットするように設計改善をされたほうがいいかもしれません。アクリル板もそれまでの「小手先の場つなぎ」
のように思え、製品のあり方として非常に印象が悪いです。

ちなみにアクリル板をレールの下から噛ませたらレールとカメラの密着度は上がりそうに思えますが、ネジのネジピッチの
切ってない軸部分が短いので、アクリル板を下から噛ませると、レールの溝をピッチ部が貫通しなくなり、ネジ位置を水平
方向にレール上で調整することができなくなり、使えません。

カメラ用ネジの長さのものがもう1本あるとか、長いネジがピッチ部はカメラ用と同じく短く、ピッチのない部分が長いとかだったら
よかったのですが...。なので(c)の状態でアクリル板に何か貼るなどの工夫が必要かと今は考えています。アクリル板をゴム
などの素材に替えると摩擦力が上がり、レールとカメラの密着性は上がるものの、今度はレールとカメラの水平垂直の平行性
が疑わしくなりますから、あまりやるべきではないでしょうし、アクリル板に貼り込む素材についても同様の懸念を考えなければ
なりません。

上記の月面画像のように画質に直結する問題なので、頭が痛いです。なかなか「すぐ使えて便利」という状態になりません。
追加で発覚したPL40mmとカメラレンズがぶつかる(レール長が短い)という私によって致命的な件も含めて「すぐ使えて便利」
を期待して自作の工夫よりも出費を選択したと思うとがっかりという訳でした。
何か大きな勘違いをしている(ご存知の通り、よくやります^^)なら、ご指摘頂けると嬉しいのですけどね.....。







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