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○火星!(2003/06/05夜。データ化は2003/06/06-07。)
「どーん!!」という感じで突如、火星写真3枚登場!! ビデオカメラでの撮影データによる多数枚合成です。
南極冠、その下の丸いヘラス大陸、その下の逆三角の大シュルティス、子午線湾(アリュンの爪)自体は火星の見えない
面側にありますが、そこへヘラス大陸から右へ伸びる腕の部分など、火星を代表する模様が一望できます。
(天体写真は望遠鏡の倒立像を基本としますので、写真は南極が上、上下左右は写真においての方向です。)
私としては現時点での最高の出来にとても満足しています。
それぞれの倍率でアイピースはVixen LV4mmです。倍率の違いはビデオカメラのズーム位置の差によるものです。
3枚はそれぞれ別データで、ドブソニアン経緯台での固定視野を流れていく火星を追尾せず撮影したものです。
左から順に、Registaxの自動処理での評価選別の後、目視で良好なものを78枚選択して合成(閾値0%表示)したもの、
目視の上151枚ほぼ全データを採用して合成したもの(閾値68%)、そして目視選別で86枚を合成したもの(閾値0%)です。
Registaxの操作方法の勘所をつかんだ先日以来、なかなか天気に恵まれず、また天気のよい日は仕事の帰宅が遅くなり、
ToUcamProの改造が思いがけず難航していることもあって、ビデオカメラSONY DCR-PC3のどのモードでの撮影が
惑星撮影に最適かを確認する機会がありませんでした。
このビデオカメラはシャッタースピードや絞りをマニュアルで指定できません。そのため明るさ調整をすると内蔵絞りが
動いて間接撮影の光束をカットしてしまい、有効写野が極端に減ります。視直径の大きい木星などではすぐに像がケラレて
しまい、手持ち撮影ではほんの数秒間しか写野に収めることができません。
そのため明るさ調整は望遠鏡のアイピース選択とDCR-PC3のズーム位置設定で合成焦点距離を可変し、合成F値を
調整することと、DCR-PC3側では露出モードのプリセット設定の中からできるだけ絞り開放、シャッタースピードが
1/30秒 ~ 1/8秒程度のモードを試行錯誤して選ぶことで、有効写野の最大確保と色情報散逸の最大回避を狙いました。
主に事前テストは室内の暗い照明を、見た目に近い状態(暗背景が適正露出で光源が飛んでしまうことのないように)で
撮影でき、また手ブレさせてみて妙に残像が残るような(超スローシャッターと思われる)モードは避けて選択して
おきました。それはDCR-PC3の場合、「プログラムAE」モードから「雪山・海岸モード」モードにすることが最も
その目的に合ってました。恐らく雪山や海岸での背景の明るさに人物の顔が黒くならないように絞りを適正値からさらに
開けるのだと思われます。お手持ちの家庭用ビデオカメラで惑星写真をお考えの方はぜひ参考にしてください。
撮影している液晶ファインダーで既に色情報の確保と模様の詳細が記録されていることを確認し安心しましたが、
Registaxでの多数枚合成とWavelet処理をかけたら、浮き出た模様に思わず溜め息が出ました。
勿論、上には上がいらっしゃるのですが、私としては現時点で大満足しています。
天文雑誌に投稿してみようかな....(^^;)。
まあでも皆さん、自動ガイドと安定光学系でもっと立派な写真を今頃撮影されていることでしょう。
眼視では火星の輪郭および模様の輪郭は勿論もっとシャープでした。私の住んでいるマンションからはちょうどその
方向に大阪平野の公害と都市部特有の霞のような不透明さがあり、2003/06/05早朝も肉眼で時々火星の位置を
見失うような薄曇な状況ではありました。気流はそれほど暴れてはいませんでしたが、透明度は刻々と変化しました。
その中で模様は上記写真より詳細が見える瞬間と写真より詳細が見えなくなる瞬間が高速に入れ替わる感じもあり、
写真はその平均値として考えると「これほど見えていたかなあ(驚)」という方向にちょっと傾くくらいの上出来です。
ようやく「銀次250は火星を見る・撮影するのに向いている」と自信を持てました。天文雑誌にたくさんの機種のお勧め記事
があり、勿論、上には上があるのだとは思いますが、価格(9万円弱)を考えますと「本当にすごくお買い得!」という気がします。
ドブソニアン経緯台で重量バランスを考えると、ビデオは手持ち撮影を余儀なくされますが、それでもこの程度の
写真も残せて、眼視では勿論、この上の解像を見せる鏡なら「結構イケルねえ」と思ってよいのではないでしょうか。
○天王星(同夜。写真なし。)
その夜、銀次の8×50mmファインダー視野に火星の近くに別の星が見えました。この公害と霞のかかった状況で見える
恒星にしては存在感あるなあと思ってましたら、当日朝発売の「星ナビ」や「天文ガイド」でそれが天王星であることを
知りました。天王星、生まれて初めて見ました。銀次で見ておけばよかった...。
その朝はまだ金曜日の朝で、その時、既に4時前でした(金曜の日中の仕事はすごく辛かった...。自業自得。)
それから私のマンションのベランダからは天候の都合で見える機会を得ていません。残念。
○ToUCamPro改造顛末経過(まだ予告編程度。え?この文の量で??)
ところで、先日来、輸入して改造をかけている筈のToUCamPro ですが、まだ改造は完了してません。
実はこの日も夕飯時の木星、月から夜半の火星登場まで、ToUcamProのテストをしていました。
なぜか強烈な色収差が出て、現在まだ実用には至ってません。
CCDの前にはプチレンズから紆余曲折して取りだした平行平面板の赤外線カットフィルタしかないのに
おかしいな....。
上記の火星も実は「こんなに代表的な模様がはっきり見えているのに記録がこのザマでは悔いが残る」
と、ToUCamProの到着以来、埃をかぶっていたDCR-PC3を急遽持ち出しての撮影に至った訳でした。
このままでは「DCR-PC3でよかったじゃないか...。」という感じになってしまいます(^^;)。
また色収差が出る不具合について何かお分かりになる方がいらっしゃいましたら、メールかBBS経由でご連絡ください。
ちなみに付属のプチレンズは一部の識者様HPで書かれている「2群2枚」ではなく「3群4枚」でした。
特にプチレンズ末尾(CCD側)についている赤外線カットフィルタの直前についている後玉1群2枚は
この種のカメラについているレンズとしては別格に立派そうな厚みのある2枚組合せレンズでした。
HPで分解記事を書かれている方の中にはプチレンズユニットを切断しないで、先頭のキャップを
ねじって前からレンズを取りだす方法を書かれている方もいらっしゃいましたが、それではその後群2枚が
とれないことを私は確認しています。
なのでアイピースの後には、プチレンズの残存光学系は残っていなくて、フィルタとCCDしかないのになんで
火星本体と同じくらい大きい幅の色収差が出るの.....(泣)。
ToUCamPro改造の顛末は、また記載します。かなりの紆余曲折がありました。
またその顛末はこのコーナーに記載します。(追記:本ページの下方に一挙記載致しました。)
○おまけ
同夜に撮影した月です。随分西に傾いた状態で色に大気の影響が出ています。眼視での解像度はものすごいです。
写真でもニュアンスは出ていますが、眼視での解像の印象と比べるとおとなしいものです。
撮影はE5000、アイピースはVixen LV Zoom8-24mm(24mm位置)です。
○追記(2003/06/08朝)
いつもお世話になっている「星空観望 掲示板」管理者の識者様、レオポンさんが同掲示板上で私の画像を
縮小・明度調整して下さいました。(書き込み[3273]。ありがとうございます。)
眼視でのニュアンスがよく出ています。GINJI-250DにVixen LV4mm(312倍)を使って見た火星の大きさ、
模様の平均的な先鋭さはまさしくこんな感じです。
画像にして掲載すると小さい印象ですが、ずっと観望していると模様の詳細が見えてきてとても大きく感じてくるものです。
いい鏡だと思います。公称の「鏡面精度はレイリーリミット(1/4λ)保証」は確実、それ以上の性能が出ていると思います。
価格を考えると驚異的です。今年の火星超大接近を低予算で観望・撮影したいという方に私は絶対お勧めです。
○ToUCamPro導入顛末記(2003/05/23-06/09。2003/06/11記述。)
ほんの数ヶ月前には天文雑誌の片隅で「米国などでは『Video Astronomy』という観測ジャンルがある。数千円~
1万円程度の安価なWebCamビデオカメラで撮影し、画像をスタックして高解像を得るもので...。」などとあり、
読んでいる私も「なぜマニュアル露出設定可能なビデオカメラを使わないのかなあ」とか悠長に思っていたものでした。
ところがそれから今では国内でもすごく様相が変わりました。
各天文雑誌に掲載された作例が「ハッブル望遠鏡なみ」という評価を得て、国内でもブームが来たようです。
私もビデオカメラの内蔵絞りを制御するのに苦労しておりまして、これならきっと次の点で有利であろうと考え
そのブームにちゃっかり乗りました。
・本体が軽く銀次のようなドブソニアンでも重量バランスを崩すことなく接眼鏡に取り付けることが可能。
・内蔵絞りによるケラレで有効視野が狭くなり、撮影できる秒数が少ない現状は回避できる筈。
・ビデオカメラでは撮影レンズの切り離しが困難(家庭用の使用をあきらめれば不可能ではないかも)なので
コリメート法での撮影に限定される。(火星など小さい対象ではせっかく反射光学系を使っても色収差が目立つ恐れあり。)
ところが、国内で取り扱いされている業者、団体はなかったのでした。
既に製造会社オランダPhilips社では生産終了となっており、世界に残存する流通在庫を求めるしかないことが
わかりました。そこでネットで調べて日本国内からクレジット処理可能であり、日本への配送先があるサイトを
探しました。
顕微鏡科学の祖、レーフェンフク氏の初期型顕微鏡のレプリカ版をメインに販売されているユニークなサイト、
「pocketscope.com」で、その顕微鏡の撮影器具として「ToUCamPro」を扱っておられたのを見つけ、ネット
フォームから注文をしました。
販売サイト(www.pocketscope.com) ....まだ在庫あるかなあ。
ところが、そのフォーム入力では配送業者の選択はできましたが、海外配送の輸送費が自動計算できない仕様不足があり
メールベース(もちろん英語)で再度、配送業者と費用のセットでの選択をしました。また最初のフォーム入力での
カード有効期限の月と年を間違って入れ替えてしまい、そのことを伝えるのに苦労しました。
私の不慣れな英文での弁解メールに優しく気さくな担当者様は曰く「この2日で同じミスをした方が4人もいましたよ。
私も時々ネットショッピングで同じミスをします。」とのことでした。外交辞令でも嬉しくなってしまいますね。
カード上の記述が「04/'05」など年号に「 ' 」がなく「04-05」のようにパンチだけがあり、その横にどちらが年かの
表示記述がなかったせいなんですが、まあ英語での交渉などを含め、とても勉強になりました。
で、2003/05/23に無事発送され、2003/05/27には早くも我が家に届きました。
これです。
ケースを含めて「卵から出てきた鳥のヒナ」みたいなイメージが可愛すぎる!
この可愛さについ「天体撮影用だけでなく本来のWebCamとしても使いたいなあ」と思ってしまいました。
それで改造はできるだけ元通りに修復できるように心がけようと思いました。
後で考えればそれが大きな紆余曲折の元凶になった訳でしたが....。
改造はそれから数日、天候の悪い日に実施しましたが、ネット上の識者様の情報を参考に、おおよそ以下の顛末で経過しました。
(1)第1次改造(中途断念)
まずは、本体ボディを開けます。お尻の部分の六角穴ボルトの穴は我が家にある六角穴レンチでは対応不能な小ささでしたが
メガネ修理用などの小さいドライバのマイナスを使うことで開きました。その後、頭にある2つのひっかけ爪を外せば本体は
2つに割れます。また付属レンズユニットはゆるむ方向にずっと回していると黄色のフードごと外れます。
レンズユニットから光学系だけを外して赤外線カットフィルタを温存する方法について、ネットで公開されている事例では
2通りの方法がありました。1つはレンズユニットの胴体を半分に切り、レンズを取りだしてしまう方法。そしてもう1つは
ラジオペンチなどでレンズユニットの前半分の太い部分を回転させると蓋があくようにレンズが取り出せるというものでした。
私はこのToUCamProを天体用として使わなくなったら元のWebCamとしても使いたいと思い、後者の方法をまず選びました。
その時点ではそうやって外れる一番最初のレンズが赤外線カットフィルタだと思っていたんです(^^;)。
なので、最終的な光軸調整などは後回しにするつもりでテープでCCDの前に仮止めしました。
そして再度ボディを元通りにしました。
基板の裏に貼ってある黒紙は、ネット上の解像事例で「ボディが白いので撮影が明るい環境で為されるなら何かの遮光が
望ましい」というような内容が記述されていたからです。この黒紙は基板の前に回って、動作確認LEDも遮光します。
ただ紙の肉厚が思ったより厚くて、また紙という素材がそれほど柔らかくフィットするものではないために、ネジを締めても
光学系に対して基板が完全に垂直になっていない懸念があり、後日の改造でこのやり方は断念しました。
(2)第2次改造(というかやり直し)
そのころ晴れる日が少なく、また上記の改造があまりにやみくもだったこともあり、ネットで情報を調べ直しました。
自分の中でもCCD前に仮止めした部品が赤外線フィルタなのかどうかも不安でしたし。光を当ててみると反射光が赤っぽい
のと、レンズ先端をねじってとりだせるというネット上の情報で判断した訳でしたが、その部品、机の上の物体からだんだん
離して部品の中に映ってる像を見ると大きさが変わるんですね。つまりは屈折率がある。
「そんなフィルタあるかなあ...これってレンズの前玉じゃないの?」とようやく思った訳です(おそーい!^^;)。
その後、ネット上で赤外線フィルタはレンズユニットの末尾(CCD側)にある薄い平面板だということが分かりました(写真上左)。
しかもこの板はレンズユニットに接着されています。そうなるとレンズユニットの中の全レンズを取りださないといけません。
またレンズを取りだせば、ユニットの殻の部分を使って光軸的にも正しくCCD前にセットができます。
先日取り出しができた前玉以外にピンセットなどを使って後玉が出てきました。(写真上右)
でもなんだかまだレンズユニットの殻を振るとカタカタ言ってます(^^;)。机を覗いて距離を離していくと物体が小さくなります。
まだフィルタの前にレンズが残っているようにも思えました。でもユニット側の途中に遮光絞り板があり、ピンセットなどでは
取り出せないように思いました。ネット上でこの方法でフィルタを取りだした方はこの先どうやって作業をされたのだろう....。
私もこのToUCamProをできればいつでも元通りに戻したいと思ってましたので、この時点で一旦撮影テストをしてみたいと
思いました。この時点で撮影が実用になるなら、レンズが残っていようが無理な改造をしなくてもいいだろうと思った訳です。
(じゃあまずコリメート法で実用になるか見ればよかった....^^;)。
またレンズユニットなし(つまりフィルタなし)でもだめかなあ、などとも思ったのでした。色バランスだけの問題なら後処理で
カバーできないかなあ、と思ったのです。
結果は惨憺たるもので、フィルタなしでは、PC画面上でいつまでもピントがぴりっとしません。
これは目では感度のない赤外光がCCDでは感度があり、なおかつ長波長であるために高倍率では特に可視光とピント位置が
違うためにピントの合っている可視光の像の上にボケた赤外光の像がかぶるのではないかとその時点で判断しました。
また恐らくレンズがまだ残っているフィルタ込みのレンズユニットでピントテストをしましたが、強烈な色収差が出て
この状態では実用にならないと思いました。
そうこうするうちに木星は西の山に沈み、月は周辺になかったので、テスト画像の取得もできないまま、一旦テストは
あきらめました。
その日は2003/06/05夜で、夜半過ぎの火星は既にビデオカメラからの多数枚合成の画像で報告した通り、著名な模様が
見えることがシミュレーションソフトで分かっていました。
またその日までに以下のことが分かってましたので、ついに私もレンズユニットを半分に切り、残存レンズを全部取りだす
覚悟を決めました。
・別途、接眼鏡側に赤外線フィルタを用意すればToUCamProの内蔵レンズユニットは温存できるが、問い合わせてみると
費用が12000円くらいするということ。(ToUCamProの在庫があればもう1台買えるじゃないかってことです。)
・写真用の同様のゼラチンフィルタがないか探してみたら、逆に赤外線だけを透過させるゼラチンフィルタしかないこと。
枠付きのガラスフィルタはあるが、改造は難しくまた費用はやはり12000円ほどすること。
・我が家のネット環境はCATV-LANアドレスをルータで多分配するプライベートアドレス運用をしているが、その環境で
実用になる画像チャットなどのソフトウエアは(特にMacintoshでは)皆無であること。
(またそんなソフトウエアが登場したら、その時点で安価なWebCamを買えばいいことですね。)
(3)第3次改造(というかまたやり直し)
以上の経緯から、結局多くの識者様の事例通り、私も実際にレンズユニットの殻を2つに切ってみました。
その作業中、レンズユニットの殻をはじき飛ばしてしまい、次に見た瞬間には肝心のフィルタがどこかに行方不明になって
しまいました。つまりはじきとばした反動で殻からフィルタが外れてしまったのでした!
その時、既に殻はまっぷたつ(^_T;)。そんなことなら二つに切らなくてもよかったですねえ。元に戻せたのに....。
で、やはり殻に隠れていた最後の後玉を取りだして、床から探し出したフィルタを再度、殻に慎重に接着して、全てを元に
戻しました。そのあたりの顛末は画像が残っていません。あまりにその展開がショックだったもので...。
結局、レンズ構成は3群4枚でした。最後に取りだした後玉1群2枚は、玩具のような外観のWebCam用とは思えないような
厚くて立派な2枚合わせのガラスレンズでした。
幸運(?)にしてフィルタが一時外れるようなことがない限り、この後玉1群2枚は殻から外に取り外すことはできないと確認
しました。レンズユニット殻の切断はまず必要だと私は思います。これから改造される方にはご参考です。
※(2003/10/13追記:重要)
木星、土星に関しては赤外領域の成分が天体に少なく、フィルタの有り無しは画像の色調やピントにあまり影響しない
そうです。また重要なことなんですが、赤外領域をたくさん含む火星像においても、後処理で色再現に苦労することを
覚悟するならば(または逆に気にしないならば)火星の模様は赤外線フィルタは、無いほうが模様はもっと詳細に写る
んだということが、後でわかりました。
じゃあ何のためにレンズユニット、ぶっ壊したの...(^^;)。改造を重ねて基幹部分の精度を落としたかも、とか不安に思う
必要もなかった訳です。レンズユニットをねじって取り去るだけでよかった訳です。今更なんですが、補記訂正しておきます。
勿論、フィルタをつけるほうが正しい観測・撮影をしていることにはなるんですよ(そうでなかったら、あんまりだ)。
動作確認LEDは慎重にビニールテープで塞ぎました。この光でCCDに感光があるそうで赤カブリの原因になるそうです。
また、ToUCamProはビニールテープでNikon UR-E6に仮止めしました。
光軸調整などはもっと調整が追い込んでからにして、まずはきちんと撮像できるかを確認しようと思ったのです。
またこの仮固定用の黒ビニールテープを上記で断念した背後カブリ防止用としても兼用することにしました。
今は貼りつけ量が不十分ですが、改造が完了して調整も安定状態に入りましたら、全面をカバーしたいと思います。
ちなみにこのUR-E6はNikon Coolpix5000に28mm径のコンバージョンレンズを取り付けるアダプタで、
これを介することで、市販のデジカメアダプタの28mm用に接続することができるようになります。
私はテレコン用に1つ持っていましたが、今回、専用に1つ追加購入しました。デジカメアダプタなども含めると
結構、追加出費が増えてきました。(デジカメアダプタもLV4mmとLV8-24mmZoomでは製品が異なりますしね。)
(4)撮影編1(2003/06/05)
いよいよその状態で2003/06/05の深夜、登ってきた火星で撮影テストを開始しました。
既にビデオカメラでの撮影結果を載せてありますが、この夜は火星本体が肉眼で時々見えにくくなるような透明度下では
ありましたが、シミュレーションツールの予告通り、眼視で南極冠、ヘラス大陸、大シュルティス、子午線湾に伸びる腕の
部分など火星を代表する著名な模様が、しっかり確認できました。
ドブソニアンで高倍率で火星をPC画面上に位置決めするだけでも、ものすごく忍耐が必要です。
数時間前の木星でもそれをやっている間に木星は没してしまいました。
で、ようやく撮影を開始しました。だがショックな顛末は続きます。
いくら調整してもピントが合いません。もう残存レンズもないのでピントはあう筈ですが。
しかも強烈な色収差が出ます。数時間前に木星のテストで確認した色収差は残存レンズのせいではなかったのか....。
あまりに惨憺な結果と目の前の火星の模様の素晴らしさに、ToUCamPro到着以来、埃をかぶっていたビデオカメラを
再度持ち出してきて、撮影を開始しました。なんせその夜は木曜日の夜中(金曜日の早朝)4時前です。
夜があければ仕事があります。ToUCamProの不具合究明はその夜はあきらめて、記録優先にしました。
結果、普段お世話になっている天文掲示板で見事な画像を掲載されている識者様各位からお褒めの言葉を頂ける火星写真を
ゲットできた(既にこのページ冒頭で記載済み)訳ですが、それはここでToUCamProのテストがだめだった反動で得た
苦肉の策の結果でもあります。(^^;)。
先にも書きましたが「なんだToUCamPro改造で苦労しなくても、家庭用のビデオカメラで充分じゃん...。」という複雑な
気持ちが私の中に充満して行きました。安価と言いながら、デジカメアダプタやらUR-E6やら結構、追加出費もかかって
いますから....。
(5)撮影編2(2003/06/08)
それでも気を取り直して、2003/06/08に再度、木星と月でToUCamProのテストをしてみました。
どう考えても思い当たる原因がないのです。上記の火星の結果が色収差であるとしたら。
そのうち、取り込みソフトの設定で「いい状態になればオート設定を外す」というのが勘所になっている
カラーバランス調整の問題と、輝度調整を最適値まで追い込めなかっただけではないかと、考え方を変えてみました。
どんな方式のムービーカメラを使おうと、走査線記録方式であることは間違いなく、左からトレースしてきた
走査線が輝度の変化が大きすぎるとそこでクリップします。また輪郭強調処理などが入っているとそのクリップ
の箇所で色や輝度が裏返るほどの歪みが出ることがあります。そういうものではなかったかと思うことにしました。
相変わらずの曇天の合間と没する時刻の迫った木星で何とか何例かの撮影をしてみました。
写った写った!! なんとか縞模様が確認できました。
これはRegistaxで90コマを合成し、Wavelet処理をかけたものです(閾値81%)。
色収差らしいものはありません。いや、少し周辺が色づいてるかな...。でも程度が全然違います。
やはり画面設定のアヤだったのか...。
ちなみに撮影条件は雲間からの強行撮影で、没する10数分前です。詳細が見えないのは仕方がないでしょう。
平行して撮影したビデオカメラ(DCR-PC3)での画像は次の通りです。先日の火星での結果とは「同じ光学系で
撮影したものか?」と自分で疑いたくなるほど不鮮明です。やはり大気の暴れと透明度の悪さが画像に強く影響した
のでしょう。大気の暴れのせいか、何か上下方向にもつぶれた感じもします。(目視で選別した102コマで合成。閾値0%表示)
なので、上記のToUCamProでの初木星は、まずまずの出来、と思うことにしました。
シャッタースピードを指定できるToUCamProのほうが色調もよく再現できています。
その後、横で没するのを待っていた月でテストを続けました。この高倍率(CCDが小さいので撮影倍率は上がる)では
月面は平均的な輝度が連続する被写体になります。先日の原因が輝度設定にあるか光学系にあるかの見極めを含めたテストは
とても好都合と言えます。
どうでしょう?ここまで撮れればまず問題ないでしょう。安心しました。
Registaxで394枚合成(閾値64%)です。
ずっと以前にデジカメで撮影・掲載した「直線壁」が鮮明に出ています。他の部分の詳細も生々しいです。
クレーター周辺に溶岩流の後のような地形も見えます。
画面の左下と右上の手でちぎったような感じは、ToUCamProの画面を月が地球の日周運動(と月の公転も加わる)で
横切って行きますので、一つのクレータに位置決めして画像を多数枚合成すると、それぞれのコマが少しずつずれて
重なって行くことになります。つまりこのギザギザは394枚の写真が少しずつズレて重なった角の集合体である訳です。
ちなみに同状況でデジカメ撮影した状態も掲載します。1枚目の月周辺を見ますと、いかに薄い雲が月にかかって透明度が
悪かったかが分かります。その状況での上記ToUCamProでの月面の成果なので、一旦私はその出来に本格的に安心すること
にしました。
2枚とも接眼鏡はLV8-24mmZoomです。2枚目はLV8-24mmでなくE5000のズームを拡大して撮影したものです。
やはり中央欠け際に直線壁が見えています。
階調の美しさと低ノイズはレンズ一体型デジカメとはいえ、2/3インチ500万画素の真骨頂です。
ですが、もっと拡大したときの生々しい立体感のある解像はRegistaxの威力も加わって、ToUCanProのほうが上かも?
きっとToUCamProのほうがかなり上になる日がすぐ来るのでしょう。期待大です。
結果、改造は無事終わっているのだと認識しました。何度も改造の試行や、やり直しをする間に部品を壊していないかと心配
でしたが、どうやら問題なさそうです。後は天候など撮影条件に恵まれることと、輝度変化が周囲と激しい差がある惑星を対象に
ソフト設定を追い込むことで、だんだんビデオカメラ以上の実力を発揮してくれることと信じます。
内蔵絞りにケラレる心配がないというのは、ドブソニアン経緯台で固定視野を惑星が流れていく撮影環境では特に重要ですし、
軽量故の手持ち撮影からの脱出の効果もとても大きいと思いますから、きっと単位時間に取得できるコマが飛躍的に増えるだろう
と思います。そのことはきっと画質の向上にきっと直接寄与すると期待できます。
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