--- 直リンクでのご来訪の方々も居られますので、以後カウンタを本コーナー各頁にも。


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○久々の快晴。屋上へ。(2006/09/23。2006/09/24記。)


この日は朝から1日雲なしの晴天でした。大抵、そういう場合は夜から雲が出てくるものですが、この日は夜になっても雲無し快晴
の状況は変わりませんでした。そのような日は今年通算で何日あったでしょうか。
土曜日が祭日で金曜日が振り替え休日だった企業も多く、3連休の中日であったのが、秋空の透明度を一層高いものにしたのでしょう。
私も金曜日に恒例の(T_T;)、休日出勤を済ませておきましたので、この日は屋上にあがる元気のゆとりは若干ありました。
スカイパトロールの最小構成がどこまで使えるかを、ずっとテストする機会がなかったので、よい機会でした。
この改造過程を撮影したのは5月半ばでしたから、それからずっと出番なしだった訳です。勿体ないですね(^^;)。

自由雲台をつけてカメラや望遠鏡は対象物の方向に自由に向けることができますので、後は日周運動を追尾できる赤経体部分だけを
残せばよいことになります。フォーク軸受がない一種のフォーク式赤道儀となる訳です。

1枚目が「スカイパトロールII」フルセット状態で今まで使ってきた形態です。小さくてもドイツ式赤道儀ならではの精度を実感できる
一方、バランスウエイトなど重量がかさむパーツも機構上含まれます。2枚目の状態が「スカイパトロール」状態です。
この2つの形態においては自由雲台は必須ではありません。赤緯・赤経2軸があり、原理的には任意の方向にカメラや望遠鏡を向ける
ことはできます。が、自由雲台があれば、無理な姿勢に架台をひねる必要がなく、自由度が増します。分解組み立ては2枚目画像にある
L字の六角細ドライバー1本でできます。


 



更に手動で動く赤緯体部分も外します。代わりにカメラプレートを着け、自由雲台は必須部品となります。これが最小構成の
「スカイポート」状態です。画像右半分は外して使わない部品です。重量的には半分以下になったのではないかと思います。
これでも原理的には追尾精度は変わらない(=電動駆動部はそのまま温存)ので、これで実用になれば軽快感はもっと向上する
ことになりますね。





屋上に上がるのも久しぶりです。折れ曲がった屋外階段も、軽量化した機材のおかげで運搬・設営がラクです。
透明度の高い連休中日の快晴でも大阪平野の光害は変わりません。余計に奇麗に一層輝いている感じもします(^^;)。





彗星撮影の後、長雨などを我慢しつつ5月の時点からずっと撮影したいと思っていたのは、カシオペア座とペルセウス座の間にある
NGC869、884の二重星団(通称「h・χ」)です。当時は地平線近くにありました。半年近くの季節の経過で撮影に適した仰角で
見えるようになったのでした。
肉眼で見ると目的の方向はこんな感じです。自動追尾で露出90秒(ISO800。F5.6)。これでもかなり見えている感じでした。
北極星が一発視認できたのも、うちの環境では「今日は星がよく見える」という感じですから、普段が如何に星見にふさわしくない
環境に居るかということですね。





同じ画像を後処理で階調補正すると対象が見えてきます。カシオペア座からの場所を描き込んでみました。





EOS20D+SIGMA18-200mmを使って80mm(35mmフィルム画角で128mm相当)画角で撮ってみました。
これでも後処理でできるだけ雰囲気を出してみましたが、焦点距離が短いために細かい星の分離はできておらず、望遠鏡で
見る二重星団の美しさは充分には実感難い印象です。





1枚1枚液晶モニタで構図を確認しながらズームを上げて行きましたが、135mm、200mm(35mmフィルム画角では216mm、320mm)
では何度やっても星像が流れてしまいました。より細かい星の分離ができ二重星団らしく写る筈でした。このレンズは特に135-200mm
での解像度が特筆モノの光学系であり、追尾精度のせいで、その実力を発揮できなかったのは残念です。


 



以前M42を撮影した時は200mm画角でも正確な追尾を確認できました。この夜も北極星を使った極軸設定はかなり神経を使って
行いましたので、ちょっと解せません。極軸望遠鏡の前に電源コードやコントローラケーブルがつながる関係で、極軸設定は最初
の設営でしっかりしておかねばなりませんが、その後、ケーブル類やEOS20Dなどを取り付けていく手順となり、その間に架台が
若干動いたのか、それともやはりバランスウエイトを使ってEOS20Dの位置によってかかる荷重バランスで追尾精度が変化すること
を対処した方が同じ駆動系を使っても追尾精度が上がるということかもしれません。この点はこれから以後機会を見つけて比較検討
しないといけなくなりました(^^;)。


焦点距離をまた落として18mm(35mmフィルム画角で29mm)、天頂に向けました。アンドロメダ座大星雲(M31)を狙ってみたい
訳でしたが、目標となるアンドロメダ座の輝星も視認が難しい印象です。あとその輝星のどこあたりにM31があったかがウロ覚え
で、写れば探せると思ったのでした。が、この光害では銀次での眼視でもぼんやりとしか見えないM31ですので、EOS20Dの液晶モニタ
ではよく分かりませんでした。なので画角は上げられないまま何枚か撮っているうちに急に満充電だった筈のEOS20Dのバッテリが
カラになりました。1枚あたり90~120秒露出をかけたにせよ32枚程度でバッテリアウトになるのはちょっとおかしいです。
久々の出動では、日頃の検討不足がたたり、いろいろ考えさせられます(^^;)。

何とか2コマに写ってました。1コマ目は矢印を入れてみました。更に星像が流れない程度に部分拡大しました。
拡大前の画像にはアンドロメダ座とペガスス座の形成する秋の四辺形が美しいです。肉眼では全く見えない細かい星が光害に負けず
記録されているのも感慨深いです。






もう1枚は構図が外れて右上端にかろうじて写ってました(^^;)。
でも意外なほど渦巻きの腕部分が、もやっとした光芒となって写っていますね。銀次観望での印象以上かもしれません。
銀次の印象や光害下でそれほど見映えのある画像にはならないと思っていたので、これには驚きました。構図だけが残念です。

周囲にある星やM42などのガス星雲は同じ銀河系の天体ですが、M31はその外側にある、銀河系と同規模であるお隣の宇宙です。
それが銀河系の星々の背後に透けて見えるという訳で、それを考えるとその巨大さには感慨が一層深いものになります。
今はそんな遙か遠くにあるM31ですが、遠い未来にこの双子の小宇宙、銀河系とM31は接近・衝突すると言われています。
その片鱗が実視野サイズの広角画像でも見えていると思うと、立派なM31の拡大画像より、むしろこんなシンプルな画像のほうが
味わいが変わって来る感じもします(......構図外れてますけど^^;)。





ファインダーや液晶モニタで構図が確認できないM31に見切りをつけ、そろそろ仰角的に撮影に向いてきたM45(プレアデス星団)
を狙おうと思った時にバッテリアウトになりました。残念です。
いろいろ検討課題を残しつつ、久々の撮影は急遽の幕切れで終わりました。



○「掲示板のコーナー」アクセス不可事故と復旧(2006/09/29-10/03。2006/10/03記。)


2000/07/13から運用してきた「亀田 滋のホームページ:掲示板のコーナー」ですが、2006/09/29の夜、スパム書き込みの
アクセス禁止操作をしている途中で「内部プログラムエラー」が発生し、管理者としても一般ユーザとしても、どのアクセスポイント
からもアクセスができなくなりました。折りしも週末で掲示板管理業者ライブドアOTD様に連絡をとっても一報もありません
でした。その時点で120000件超アクセス、4600件超書き込みの「掲示板のコーナー」は急遽閉鎖の危機を迎えました。
ようやく2006/10/03にライブドアOTD様ご担当からメール一報があり、アクセス禁止を自身のURLにかけてないか、または
アクセス禁止テーブルが満杯でないかとの指摘があり、管理者モードからの操作がその日にはできたので、古い禁止URLデータを
少し纏めてみましたら、問題解決しました。

アクセス禁止URLはテーブルになっていなくて、空白をタブ代わりにテキスト詰め込みでデータ化されるため、上限がどうなのか、
その時点で上限に対して残量がどうなのかが全くわかりません。またすぐに再発するでしょうから留意しておきます。
また、現時点での「掲示板のコーナー」の全書き込みのHTML保存をしました。記事のダウンロード機能が無料運用サービスには
ありませんので、これからはまめにそうやってデータを退避しておくようにします。

長期的にはどこか良い他の業者を探すべきなんでしょうかね。最低条件はデータを置いてもらえる期間と容量に制限がない
ことです。またいいサイトがあれば情報をお願いします。


【追記】2006/10/05付で「掲示板のコーナー」を運用停止・ログ化の上、「掲示板のコーナーII」を開設しました。
  詳細事情は表紙からたどれる旧掲示板の過去ログコーナーの冒頭、および末尾記事、「掲示板のコーナーII」の
  同日書き込み[No.4]をご参照下さい。旧掲示板同様、新掲示板も宜しくご愛顧下さい。



○「掲示板のコーナー」ご常連のK&Rさんとのミニオフ会実施。(2006/09/30。2006/10/03記。)


「掲示板のコーナー」執筆ご常連でも、また様々な機材を使わせて頂き、大変お世話になっているK&Rさんが、業務研修
で、大阪に出てこられました。移動日の2006/09/30夕方、K&Rさんの大阪到着早々の18時過ぎから、あっという間に終電
間際まで、種々雑多な話題で楽しい時間を過ごしました。

特にこの場で共通知識として有用なのは、私が木星撮影の際にコントラストが出せずに困っていた低速PCをOSを変えることで、
高速化できそう、という話題です。

以前使っていたPentiumIII 1GHzの「高速PC」と2005年の火星撮影あたりからメインで使わざるをえなかった現在の「低速PC」
(PentiumIII 750MHz)はそのCPUクロック数の差1.3倍以上の体感速度の差(3倍くらい)を感じていました。
「高速PC」では30fpsでのToUCam撮影ができ、Registaxの処理も高速でした。「低速PC」では15fps以上の撮影ではドロップ
フレームが多発してデータとして使い物になりませんでした。火星のように自転速度が遅く、色彩の濃淡がはっきりと鮮やかな対象
では、仕上がりにそれほどの遜色はなかったのですが、それらの両方が真逆の木星では、特に自転速度が速いため撮影時間を長く取る
ことができず(模様が流れます)、解像度を向上させるために充分なフレーム数の撮影ができなかったので気流や天候が不安定な
2006年の木星シーズンには満足な画像に至らない結果の方が多かったのでした。

私は「低速PC」のCPU性能以上にディスクアクセス速度がネックになっているのかと思っていました。ですが今回、話をしている
うちに、メモリ384MB程度のマシンではWindowsXP自体が使うメモリリソースへの負荷が大きく、Windows2000にOSを変える
ことで処理速度を上げることができる、とのご指摘をK&Rさんから頂きました。

「高速PC」のOSはWindows2000だったのでした。それで「CPUクロック数の差以上の体感速度差がある」と思ってきたこととも
符合します。「低速PC」はオークションで譲り受けた時に既にWindowsXPだったのです。初期のWindows95、98時代には「OSを
新しくするとメモリ増強しないと処理が遅くなる?」などと頻繁に言われたものですが、もう今はそのような事情は無いものと
思い込んでました。ぜひ検討してみようと思います。

K&Rさんと直接お会いするのは2年前にNexStar8iを使わせて頂くために宇和島を訪問した時以来の2回目です。
普段のメールや掲示板での理路整然、議論好きな印象とかなり違って、声が消え入りそうなほど控えめで低姿勢な優しい方です。
2回目なのに、今回も最初はそのギャップに大いに戸惑いました(^^;)。
今回もK&Rさんは弊HPへの「顔出し」は遠慮されました。残念です(^^;)。

K&Rさん、楽しい時間をありがとうございました。また再会を楽しみにしております。



○中秋の名月の翌晩。(2006/10/07。2006/10/07記。)


今年は中秋の名月に完全な満月が見えない、と聞きました。その夜、2006/10/06は雨でした。
立ち上げたばかりの「掲示板のコーナー2」にご常連のミドリでんかさんが25cm口径での大迫力の月面全景を公開
して下さいました。雲間から2ショットをかろうじて撮影されたとのことでした。
ミドリでんかさん、いつもありがとうございます(^^)。

私はその夜は残業で遅くなり機会はありませんでした。帰宅時は雨も降っていました。
翌夜は夕方から晴れましたので、ミニボーグ45EDとE5000で撮影しました。
それほど写真映えもしないかなあと躊躇していたのですが、夜風もひんやりと気持ちよく(かなり寒いとも言えますが)、
お気軽に撮影してみました。Photoshop Elementsでの後処理もWindowsのメモ帳での原稿執筆も今回が本格使用の
最初となります。「掲示板のコーナー2」がMacOS9でうまく表示できないという現象が出まして(詳細は
「掲示板のコーナー2」開設書き込み(06/10/05 No.4)を参照下さい。)、私も以降はWindowsXP機をメインで
使おうと思ったのでした。仕事では使っているとは言え、キーピッチもちょっとした操作感も違って、なかなか
執筆もスムーズにはかどりません(十分くどく書いてるって^^;?)。

E5000単体での夜景と月のツーショットを含めて全4枚、予想以上に精細感があり、撮影してよかったです。
2枚目だけ妙に赤く仕上がりました。これでも彩度は落としたのですが。大気の減光による赤ころびは眼視
では、それほど目立たなかったです。不慣れなWindowsでの後処理ですが階調や詳細感などは今までと変わって
いなければよいのですが、如何でしょう。









○ベランダでのスカイパトロール使用が意外にも.....。価値観崩壊の夜(^^;)。(2006/10/08。2006/10/09記。)


先日のK&Rさんとのミニオフ会で出た別の話題に、この先、体力が落ちても観望・撮影意欲を失わずに済む、手軽さと性能を
兼ね備えた望遠鏡機材はどのクラスあたりか、という話題が出ました。結局、2人ともメンテナンスフリーで軽量の10cmED屈折
あたりかなあという結論に落ち着きました。それをどんな架台に載せるかのところで、うちではベランダから北極星が見えないので
架台まで軽量でシンプルな赤道儀にはできそうにないかなと言いましたら、K&Rさんが「水準器などで水平さえきっちり確保すれば
後は方位磁石などで方位をおおよそ追い込むだけでも結構追尾するものだよ」とのアドバイスを下さいました。

先日もh・χ撮影で入念に極軸を合わせたつもりが80mm写角以上では星像が流れてしまった通り、そんないい加減な設置では結局
高倍率にした時に狭い写野に惑星や対象を安定させるのに暴れ馬状態で苦労するだけではないか、と内心は思っていました。
前夜に固定撮影での月を撮影したので、当夜は晴れてもまたお気軽に固定撮影での月を撮っても新鮮味ないかな、と思っているうちに
このことを思い出しました。銀次+ToUCamでの撮影もアダプタ長の短縮への工夫もほぼ目処は立っているのですが、重量機材を
ベランダまで家族の部屋を横断して担ぎ出すのが、なかなか家族に顰蹙ものでして躊躇していました。
そこで当夜は眼視でミニボーグ45ED+スカイパトロールIIの追尾性能を見ようと思いました。

ベランダで水準器を使ってミニボーグとスカイパトロールを取り付けた写真三脚の水平出しを入念に行い、次に方位磁石でおおよその
北を探り、極軸をそちらに向けました。何か基準線となるものが架台についている訳ではありませんので、設置はかなり大雑把なもの
というしかありません。これで高倍率追尾ができましたら苦労はしません。

ところがK&Rさんがおっしゃった通り、これだけのことで存外かなりの精度で月を追尾するのでした。これには驚きました。
LV8-24mmを最高倍率にして更に2倍バーローレンズを持ってきました。接眼鏡視野からはみ出すほどの(75倍くらい?)月面全景
が全く視野から外れて行きません.....今まで「ベランダから北極星が見えないので自動導入系の架台でないと使えない」と思っていた
過去は一体何だったのか....(^^;)。

私にしてはめずらしく長時間そのまま月面を見惚れている状態でした。像が流れていかないので、ミニボーグ45EDの解像感の凄さも
いくらでも堪能できます。また同時にいつまでも視野を離れていかない(月は恒星時運転ではだんだんずれてくる筈だが)その状態を
飽きずにずっと眺めていたという感じです。





ようやく我に帰って、ToUCamProII一式を持ち出しました。この追尾精度なら充分強拡大撮影ができると思いました。
45mm口径機では期待もしなかったPlato内小クレータ分離への挑戦です。
実はこの夜から新しく(と言っても古いドラムマシン等と交換で職場の知り合いに使わせて頂くことになったお古の)少し早いPCを
使い始めました。そのPCでの高速(30fps)撮影にも期待しました。






このシーケンスはちょっと走査線が目立ちますね。フリーソフト「Sharaku」の「フィルタ」→「ビデオ」→「走査線除去」を使って
走査線を消してみました。Undoが効かないらしく、1操作ごとにデータをセーブしながら「奇数行」「偶数行」交互に実行しながら
効果が過剰にならないところでとめました。最後にPhotoshop Elementsでアンシャープマスク処理を再実行しました。





さらに同様に走査線の目立つ画像は処理しつつ成果を公開します。







これらの画像と「銀次の部屋25」に公開した過去最高の出来、NexStar8iでの5クレータ全検出の成果をマップ代わりに(従来使って
いたマップより自分で撮った画像をもとにするほうがわかりやすいのです)比較してみます。この画像はあまりに大気安定が凄い夜の
画像で今回の画像が貧弱に見えますので(口径を考えると当然ですが)少し小さくしてみました。





小クレータは2番は確実、画像によっては3、4番もあるかと思います。光の当たり具合の加減で1、5番は見えないことが多いのと、
中央に時々見える何番にも該当しない高輝度の部分があって、それ以上の検出を難しくしています。これらは月の位相(=月面への
太陽光の当たる方向とも言えます)によって様相が大きく変わってきますので、別の機会でのトライで極められるかもしれません。

しかし....45mm口径でPlato小クレータ群が検出できるとは想像できましたか?私は想像できませんでした。
ベランダでの単純赤道儀での追尾も45mm口径でのPlato詳細検出も、そのお手軽さも、何だか価値観崩壊の夜です(勿論、嬉しい
方向にです。^^;)。

無理目な小クレーター検出にこだわらなければ、観賞用にはもう少し画像を縮小して(上のは周辺を幾分カットしたのみで等倍です)、
wavelet処理もマイルドなのが良いですね。マイルド処理と強調処理の両方を縮小してみました。


 



月面の他の部分も撮ってみました。処理はマイルドです。なお全ての画像の接眼鏡はLV8-24mmZoom(8mm位置)+テレビュー2倍
バーローレンズです。フレーム数はいずれもおおよそ2100フレーム程度の撮影です。新PCは低速PC同様、2300フレームあたりで
処理が止まってしまいますので、今回4500フレーム超のデータもあったのですが、全てフリーソフトの「AVIUtl」で2100フレーム
程度に編集して使いました。


 




最後にE5000でのコリメート撮影も自動追尾下で行いました。
前夜分の公開画像の通り、全景は固定撮影でも可能です。ですが、追尾できるとなれば拡大撮影も可能となるのです。
拡大撮影分は露出が少しアンダー過ぎたので後処理で階調調整を補正するうちに少しノイジーになってしまいましたが、追尾精度は
充分ありそうなことがわかります。拡大撮影の2枚は1/15秒撮影です。固定撮影では像が流れてしまいます。







追尾精度を確認できたので、鑑賞用としては最後の2枚は少し縮小しました。そのほうがノイジーさが軽減します。






当夜の大雑把な設置が偶然にも高精度設置状態をまぐれ当たりしていただけなのでしょうか...。何度か試していけば結論は出ますね。
今年の冬の惑星シーズンは何だかこの超ミニ機材でどこまでやれるか試してみたくなって来ましたよ(^^;)。
それにしてもフル装備にしたスカイパトロールII仕様の追尾精度の物凄いこと、やはり流石はタカハシ製です。先日のh・χ撮影時の
疑念を払拭して余りあります。そして、なおかつ45mm口径で軽く80mm口径以上相当の性能を発揮しているかのようなミニボーグ
45EDの光学精度の物凄さを改めて認識し、将来の理想望遠鏡の話が今現実に手持ち機材の中で実現してしまったかのような印象です。


この日の記事と後処理の一部は撮影画像の後処理を新PCで高速に行うため、iBookで行いました。やっぱり慣れているキータッチと
キーピッチで筆が(キーが)進む進む....いつもの過剰な語りが復活しました。Windows機にはいつ慣れるのでありましょう....(^^;)。
でも別に機材を整理する訳でないので、このようにハイブリッドで並行作業できるのも悪くないですね。



○後日談:フレーム分割後の再保存時形式と容量、画質に関して。(2006/10/14記。)


「AVIUtl」で2100フレーム前後にカットして処理したものの、再保存の際に無圧縮AVI形式を選択してしまったため、元データ
より容量がかなり増えてしまいました。新高速PCはHDD事情が低速PCより余裕があるものの、DVD-Rへのデータバックアップで
1枚に2シーケンスくらいしか保存できなくなりました。Registaxでの処理も重いです。本来無圧縮なので軽快に動いて欲しい
ものですが、データの大きさが処理時間に災いする要素のほうが大きいのでしょう。

そこでまたK&Rさんから教わりました。有償での優秀な圧縮形式のツールも教わったのですが、「AVIUtl」から標準に
選べる形式の中でも「Indeo R Video 5.1」形式は処理に時間がかかるものの、圧縮率も高くRegistaxでの良好に処理できる
とのことでした。(K&Rさん、いつもありがとうございます。)
ネットで調べてみましたが可逆圧縮処理でないので劣化はある、とのことです。ですが試してみましたが、特に気にするほどでは
ないと判断しました。以下はそれぞれ左がAVIから、右がAVIをIndeo R Video圧縮したもので、それぞれ上からRegistax3処理、
更にPhotoshop Elements2.0でのレベル調整とアンシャープマスク処理、更に「Sharaku」で走査線除去して、再度
Photoshop Elements2.0でアンシャープマスク処理実施をしたもの、です。


 

 

 



後処理においては特に画像ごとに塩梅を決めていくことを考えれば、同じ操作量での優劣にはあまり意味はないでしょう。
ただ今回は比較のためほとんどのパラメタは左右で同一処理にしています。
差は厳密に比較してわかる程度のごく微量で、なおかつそれは画像ごとに主観で決める操作量で左右される程度以下です。

肝心なことですが元のAVIとIndeo R Video圧縮後では容量は2064.3MBと22.8MBも違います。元のたった1.1%になっている
のです。ToUCamでの直データは形式は不明なものの圧縮はある程度されているので、これほどの差にはなりませんが
「AVIUtl」を使って分割した後はこの形式を使わない手はないと言い切れますね。毎回バックアップをとらずともHDD残量
が切迫しなくて済み、バックアップ媒体の運用効率も上がります。(オリジナルAVIを削除する運用の場合ですが。)
これからは最高記録更新など特別快挙の時だけオリジナルデータもバックアップし、通常のものはIndeo R Video圧縮
だけを当面HDDにおいておき、撮影に支障が出た際にまとめてバックアップすればよいかと思いました。

圧縮方式が非可逆処理(元に戻らない)でデータに劣化がある要素は多数枚合成で充分埋め合わせできているのでしょう。
また、読み出しには圧縮からの伸張処理も必要だと思いますが、データが軽いのでRegistax処理もより軽快です。

それからこれも大事なことで今回理解したのですが、2100フレームあたりでRegistaxがデータ処理できなくなる現象は
私が持っているWindowsPC群特有の話ではなく、共通問題のようです。今回の4500フレーム超データも「AVIUtl」で
分割してそれぞれをIndeo R Video形式で再保存し、Registaxで複数データ読み込みすれば、全部使えたということも今回
教わりました。そのときにはもう元データはHDD容量の事情で消してしまっていましたが....(^^;)。
何せ分割後再保存に無圧縮AVIを指定していたもので、さすがのHDD残量の余裕もすぐに底が尽き、どうせ処理できない
のだったら、と削除してしまっていたのでした。残念です(^^;)。
でも今回の得たノウハウは次の惑星シーズンの撮影では大いに役に立ちそうです。


追記:ToUCam直保存のデータに対しては、Indeo R Video形式圧縮保存後の容量差は、元の2.2%でした。
つまりToUCamProIIは撮像時に無圧縮AVI形式に対して50%の圧縮をかけてリアルタイム保存していることになりますね。
この圧縮率の小ささ(=保存後データの大きいこと)がCCD性能の良さとあいまってToUCamは惑星撮影の定番になった
のでしょう。



○「h・χ」をスカイパトロールIIでリベンジ!(2006/10/21。2006/10/22記。)


久々にまた透明度の高い晴れの日中のまま、天気も崩れず夜になりましたので、屋上でEOS20DとSIGMA18-200mmでの
星野の追尾撮影を行いました。屋上は強風もありフリースだけでは寒かったです。
NGC869、884の二重星団(通称「h・χ」)を前回、スカイポート仕様でトライしましたが、80mm以上(35mmフィルム画角
換算で128mm)の拡大撮影では星像が流れてしまいました。原因がスカイポート仕様にして軽量化したために架台の重量
バランスが悪くなったことで、長焦点撮影に追尾精度のアラが出たのか、と想像します。ただ根本原因はたまたま
撮影の途中で軽量化ゆえにせっかくの北極星を使っての極軸設定状態がが動いてしまっただけかもしれません。 
原因究明はさておき、今回、赤道儀を元のスカイパトロールII仕様に戻してテストしてみて問題がないことを確認して、
まずは安心したいと思います。それで問題が残る場合、それは急いで原因と対策を考えなければなりません。

今回、また下記の通り「h・χ」で手こずっている間に、EOS20Dのバッテリがあがってしまい、M31をしっかり撮ることが
できませんでした。が、広視野で「h・χ」に狙いをつけているショットの中にM31が偶然写ってました。
(今回もまたM31は端役です。前回の撮影で光害下での目視位置はわかりましたので、一度しっかり撮りたいです。)

M31は1枚目の画像の左端にあります。同じ画像の右端のほうに「h・χ」が写っていますね。
今夜はところどころに薄い雲があるものの、透明度がかなり高かったです。でも肉眼ではカシオペアのW型が
見える程度でした。撮影して階調処理をするとびっしり星が詰まってますね。そのことに毎回驚きます。
肉眼でこれだけの星が見えるといいですね。でもきっと私は腰を抜かしてしまうでしょう(^^;)。そういう体験は
生まれてから2度ほどしかありません。(2回とも子供のころ、島根県への旅行で体験しました。)





次は「h・χ」を順に135mm、200mm、200mm画像を後処理で1.5倍拡大したもの(35mm画角相当で216mm、320mm、480mm)です。
前回、どうやっても星像が流れてしまった焦点距離でも特に問題なく撮影ができました。(ISO800、F8、80~100秒露出)
前回の失敗がかなり気持ちの上ではひきずっていたようで、撮影中EOS20Dの液晶モニタで拡大再生を繰り返しても、
星像が流れて見えました。80mm以下の撮影でも星像が流れているように見え、何度も極軸設定やクランプ類の締め上げ、
電源コネクタのチェック、電源停止と再投入など、試せるものは試しましたが、印象変わらず、の状態で、撤収後、PC画面
で「全コマ問題なし」を確認して、拍子抜けしたくらいです。とりあえず今回の目的の「安心」は達成しました(^^)。

強風の影響がなければ、一層、星像は締まったのではないかとも思えます。撮影中、電源コードなどが風で揺れ、そのせいで
原因究明が遠のく(今回も星像が流れて失敗だとそうなります)と厄介だなあとちょっと失敗していましたが、心配ほどの
影響もなく安堵しています。この点、機材重量が少しでも重いことはメリットとして効果があったと考えられます。







撮影の前にスカイパトロールIIにミニボーグ45EDをつけて「h・χ」を見ましたが、優秀な光学系であっても、集光力(=観望限界
となる恒星の明るさ)だけは対物レンズの口径で決まってしまいます。普段の月面全景撮影や先日の月面強拡大撮影など、他対象
での実績の華々しさからの期待からは、はるかに貧相な45mm口径クラスなりの(ただし星像は恐ろしく締まっていましたが)、
淡く地味な「h・χ」しか見れませんでした。

集光力が低い小口径望遠鏡での眼視では、暗い小さな星の存在がぼんやりしてしまい、密集度が華々しくなくなるのでした。
なので、同じような対物口径の望遠レンズをつけたEOS20Dでこれだけ解像できていれば、充分満足の出来だと私は思いました。
ここはまさにスカイパトロールIIによる追尾撮影の蓄光効果の甲斐そのものである訳です。
(スカイパトロールII+ミニボーグ45ED+EOS20Dボディでの撮影には興味があります。もっと華々しい成果が出るに違いありません。
ですが、EOS20Dボディへの埃の侵入問題が気になるので当面そのトライは私は考えていません。)

最大のスカイパトロールII仕様にしても、三脚まで一式組み上げたまま屋上に持ってあがれるほど軽快な機材であることには
違いありません。80mm画角までの広角撮影限定用途かつ徒歩遠征などの事情でもない限り、持っている機材はきちんとフルセット
で使うのがよいですね。まあそれは本来当たり前の結論なのですが。
今回のリベンジで確認できたのは、スカイパトロールII仕様で使うと失敗も少なく無難だ、というところにとどまります。
最軽量のスカイポート仕様だと80mm画角以下の焦点距離でしか使えないのかどうかは、前回の失敗の直接原因がわからないの
ですから、現時点では結論保留となります。

上の4枚は4枚目以外はノートリミングです。レンズの焦点距離によって周縁部のシャープさは異なりますが、このレンズで最も
弱点である広角領域での(1枚目。およそ35mm(56mm相当)の画角。)周縁部でも、私は価格なりに充分満足しています。

それに先立ち、スカイパトロールIIがきちんと追尾開始しているかの確認をするがてら、ミニボーグ45EDに2インチの笠井ケーニヒ
32mmをつけてM45(通称プレアデス星団。和名「すばる」)の広視野観望をしました。ミニボーグ45EDの対物レンズと太さが変わらない
2インチの接眼鏡がつけられてしまうのが、またミニボーグ45EDの魅力です。普通そんな超ミニ望遠鏡、作りませんよね(^^)。
スカイパトロールII仕様においても最初の何コマかは追尾していないケースが過去にもあったので、その確認のためでした。
まだM45は東の空に低く完全に大阪平野の光害の中に埋まっていましたが、「h・χ」と違いEOS20Dのファインダーでも何とか
構図確認できたので、テスト撮影対象にしてみました。以下は同じコマでのノートリミングと部分拡大です。






なんだか輝星の周囲にある青いガスまで、うっすら見えていませんか?光害下では青い光は減衰しやすいと思いますので、これは
自分ではちょっと驚きの画像となりました。M31同様、まだまだ本格撮影してみたい対象が後から後から出てくる印象です。

今回の撮影は寒くまた職務の疲れを押しての強行出撃でしたが、日常の様々な局面での対人関係的な悩みが山積していた気分を
少し拭ってくれました。星と接する効果というより、持っている機材が安定して動いていない懸念を払拭できた安堵が大きいのかも
しれませんが。本格的な星野撮影は「掲示板のコーナー2」のご常連様の素晴らしいご成果ににお任せして、私はこの機材と身近
な屋上での撮影で、惑星シーズンの再到来まで、当面「目視に近い親近感のある星野の美しさ」を月面撮影と並行に残して行きたい
と思います。



○やはり青い星間ガスが写ってました。K&Rさんから。(2006/10/27記。)


上記のM45ですがK&Rさんに処理して頂いたデータをメールで頂戴しました。K&Rさん、毎々ありがとうございます(^^)。
やはり画像に青い星間ガスまで写っていたようです。この悪条件下と短時間露光でそこまで写ると嬉しいです。





処理内容を教えて頂きました。「ステライメージ5 」によるものです。ざらつきがあまり出ないよう RGB 毎のレベルを調整し、
Labカラー調整で、カラーバランスが崩れない範囲で全体の色調を調整の上、不自然にならない程度にマルチバンドシャープ
処理を行ない、トーンカーブを調整した上で、ガウスぼかしを少し入れたとのことでした。

少し画像の芯が甘くなっているのは、追加処理によるノイジーな印象を軽減するためのぼかし処理のためのようです。
ではノイズ除去を「NeatImage」で行えば、どうでしょう?私は「ステライメージ5 」は持っていませんので、相当の処理を
まだ慣れないWindows機のPhotoshop Elements2.0で行い、最後に「NeatImage」でノイズ除去を行いました。
Photoshop Elements2.0では主にレベル調整での青チャンネルの強度アップ、色相・彩度調整でのブルーレベルの強調の後、
再度レベル調整に戻り、青チャンネル情報の過剰部分を絞り込みました。

うーん。これもいい感じになりました。先の公開では再生側PCの色相設定によっては星間ガスが全く見えず「何を言ってる
のだろうか?」と思われた方もいらっしゃったかもしれませんが、今回の処理ではもう明らかですね。
悪環境でのお手軽撮影でここまで仕上がるのは贅沢というものでしょう(^^)。












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