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○遂に自己最高の木星像に到達!(2005/03/19夜半。2005/03/20夜記。)


寒く天候の悪い夜が長く続き、ようやく寒さも緩んできました。当夜はこちらでは薄雲があるものの
気流は安定してました。ジェット気流予想では明日のほうが条件が良いようでしたが、天候が悪くなる
可能性もあり、この夜、久々に木星撮像を決行しました。

高倍率眼視では雲によるゆらぎは時々あるものの、上空気流による輪郭の暴れなどは一切なく、今シーズン
初めて「輪郭がしっかり止まった木星」を見ました。「こりゃあ行けるかも??」と期待大で準備にとり
かかりました。

ところが、撮像開始とともに薄雲が木星周囲に急速に寄って来て「高空の薄雲は普通そんなに急速に移動
しないだろうが(怒)」とか思いながらだましだまし気分で撮像をしました。
何度も撮像中に薄雲によるピントの大きなズレでデータを捨てては撮り直しを繰り返しました。
薄雲が切れたころには木星はベランダの屋根にかかってましたので、だましだまし撮像で正解でした。
途中でピントが大きく動いたものの、安定している瞬間には木星の輪郭は止まってました。薄雲での
ピントブレがなければNexStar5で木星像の最高値を撮った去年の4/11に匹敵するような条件でした。





いかがでしょうか?再生表示側のPCの色空間がAdobeRGBに調整されているか、おおよそ近い色設定になって
いれば、この画像は間違いなくNexStar5での最高値を超えて、過去最高の木星像に至った、とお感じになるでしょう。
小白斑の数、ニュアンスを見る限りそんな印象です。
土星像の時のように、NexStar5をぶっちぎりで大口径の威力を示せた訳ではありませんが、それでも小白班の数
と詳細感に加え、豊富な階調による全体の立体感などを見ますと、ようやく長い道を抜けて土星像の時のように
NexStar5の最高値を超えて、NexStar8iでの頂上近くに来た印象です。「前回得たノウハウでようやく諸問題は解決!
後は気流次第!」と言っていたことの証明ができたと思えて、安堵しています。

NexStar8i、LV8-24mmZoom(24mm位置)、ToUCamProII、全1378フレーム中、目視選別732フレーム厳選
の結果です。薄雲によるピントの大きなハズレが何度もあったので、ボツにしたシーケンスとフレームは大量に
なり、フレームの取捨選択と試行錯誤の都度、遅いPCでその都度、再処理するのは大変な手間でした。

大赤班が出てくるまでに後30分もかからなかった筈ですが、このデータ取得後、木星はベランダの屋根にかかって
しまって、生活廃熱の影響からかピント面が落ち着かなくなり、やがて屋根の向こうに消えてしまいました。
この画像に大赤班が写っていたら、大迫力で間違いなく「自己歴代最高の木星像」の印象は決定的だったのが
唯一残念です。NexStar5時代も大赤班がない夜の木星像は、平板な印象で迫力がなかったものでした。

前回撮像の際に得たノウハウに従って、当夜ピント合わせの間だけ30fpsにしましたが、モニタ画面に出た木星は
美しかったです。新PCの能力が足らず、ドロップフレームが多発するのを防止するために撮影前に15fpsに再設定
した途端、モニタの木星が急に美しくない、階調の悪い像になったのに、がっかりしながらの撮影でした。
仕上がりはそのがっかり感も感じられないような印象に仕上がり安心はしましたが、30fpsで記録できていれば、
1コマあたりの解像感が高いのと気流が崩れない間に多量のコマを記録できることから、もっと良い結果を望める
のではないかと思い始めました。(PC買い換えできませんけどねー^^;)



○春霞の中、久々の木星撮像。ToUCamProI復活+高速PCでの撮影。(2005/04/01。2005/04/02記。)


なかなか今年は暖かくなりません。まあ最初に「暖冬」と予想されていても実際は季節とカレンダーがずれて来ている
だけではないかと思うので、冬の初めは暖かく春先はいつまでも寒いと個人的には予想していました。
私は身体がそれほど丈夫でないので、普段はかなり健康管理には気を遣ってます。ですが、朝の満員電車など避けられ
ない状況で、不摂生な人から風邪やインフルエンザをうつされるのですから、情けなくてたまりません。
(くしゃみや咳を手で押さえるくらいの気遣いは社会人として当然だと思うのですが、職場においてさえ、それを
言うほうが「変わっている」と言われるご時世のようです。情けない話です。)

3月の終わりになって、今年は花粉症がひどいという予想の通り、毎年スギにはそれほど反応が出ない私も、鼻が
ゆるくなったかと思っていましたら、続いて高熱と悪寒が来て、インフルエンザA型と診断されました。
例年ならもう桜も咲いてもう少し暖かくなっている時期なので、暖かければ私にうつした誰かも、もしかしたら
罹病していなかったかも、と思えば、この春の到来の遅れが恨めしいです。

今はタミフルという特効薬もあり治りは早かったのですが、自分がキャリアとして周囲にうつす迷惑はかけたく
ないので、医師の指示通り土日を含めて5日の養生をしました。家族もA型は今年は罹病しておらず、自室にこもり
隔離生活をしました。治癒経過に問題はありませんでしたが、今回は体調が戻るのに時間がかかりました(歳か^^;)。

この夜は今までより暖かく、ジェット気流予想も大赤班の向きも良さそうに思えましたので、かなりの春霞と薄曇り
でしたが、次の日以降は天気も下り坂でしたので、ようやく久々に木星撮影に臨みました。

春霞と薄曇りが光害の乱反射を増長し、NexStar8iのアラインメントの候補星を東向きベランダからは肉眼で2つ
見つけられませんでした。アークトゥールスは位置が分かりましたが、スピカは肉眼では見えませんでした。
おおよそスピカの位置は見当がつきましたので、その位置でアラインメントを実行しましたら「Align Success」が
出てしまいそのまま撮影準備に入ったのですが、やはりその初期設定がよくなかったのかNexStar架台の追尾精度は
超「暴れ馬状態」で常にNexStar8iのコントローラの下ボタンと右ボタンを押し続けないと視野の外に木星が猛スピード
で逃げて行きました。(まるで追尾してないようでした。)

今夜は高速ノートPCを使う機会を得たのですが、そのような状態でじっくりピント出しができなかったのが惜しまれます。
またそのPCにはなぜかToUCamProIのドライバしかインストールできませんでしたので、急遽ProIを出してきて、再び
トイレットペーパー芯でアダプタを作っての撮影でした。アダプタのCCD面に対する垂直出しもToUCamモニタを見て
像の上下左右対称を確認した程度しかできていませんので、後処理中が終わるまでそのあたりの精度がどうかも不安でした。

高速PCを使えるメリットは、何と言っても先日の課題として残った「30fpsで記録できていれば、1コマあたりの解像感
が高いのと気流が崩れない間に多量のコマを記録できることから、もっと良い結果を望めるのではないか」ということ
につきます。眼視では木星の周辺が少し細かくビリついていました。先日のほうが気流条件は良かったです。









高速PCと大容量HDDのおかげで、今回は去年並みに大量のフレーム数と多数のシーケンスを気流安定した短時間に取得でき、
そこから優秀なシーケンスを後で比較選抜できました。

画像の印象は去年の木星像に近いビビッドなコントラスト感がありますね。これはいずれも2000フレーム前後の大量データ
を短時間に取得できたことが大きいです。(ToUCamProIとIIの差による影響は多くの方々が「無い」とおっしゃいます。)
上から順に2066、2170、2032フレーム(選別なし)です。シャッター速度は当夜は全て「1/33sec」です。
ToUCamProI+トイレットペーパー芯製カメラアダプタ、NexStar8i、LV8-24mm(24mm位置と約20mm位置)、
Registax2.1、Photoshop5.5/Macintoshでの処理です。Wavelet処理はLinear[2:2]です。

少し画面の左側に若干の流れがあり、CCD面に対するカメラアダプタの垂直が甘い印象もありますが、NexStar5時代の
最高値を見ても、もっと流れていたりしますね(^^;)。なのでもう取り付け部は動かさないほうがよいかもしれません。
(ただこのアダプタで2つめのUR-E6を使ってしまいましたので、E5000で月面を撮るときのためにもう1つ買う必要が出て
来ました。)

当夜のベストは衛星が2つ写っているものでしょうか。先日の「ベスト」と比較すると、写りの印象が違うので優劣判定は
難しいです。コントラストは今回が上ですが、前回のほうがピントを追い込めた印象もあります。(解像感が上の高速fpsで
撮影していながら、ピントが極限まで追い込めていないのは残念です。ただ気流によるピントの前後もあったでしょう。)

やはり木星像のコントラストを上げるのは、高速フレームレートで短時間に2000コマ超のデータを得ることだ、と思えます。
去年の木星像と今年の差はNexStar5とNexStar8iのピントのピーク性の問題より、PCの性能の差により今年は高速フレーム
レートを使えなかったことでピント出しに苦労したこと、低いフレームレートで1コマあたりの解像感が減ったこと、更に
低いフレームレートのために木星の速い公転周期で影響が出ない90秒程度の短時間に得られるフレーム数が少なくなったことの
影響のほうが大きかったと総括できそうです。今回の仕上がりに近い印象の木星像は去年分に何度かありましたが、木星像の
サイズを考えると、やはり去年より主鏡の口径差分、よりしっかりした結果になっていると私は感じます。いかがでしょうか。

このPCでも30fpsは性能上限ギリギリだったかと思います。少しドロップフレームは出ていました。ただ60秒少しで2000超
フレームを得られるのは、やはり高速PCはいいなあと思います。後処理にかかる時間も短時間で済みますね。HDD容量も大きい
ので撮影現場でデータを捨てずに置いておけるのもいいです。

30fpsになればToUCamモニタでの解像感もとても良くなり、ピント出しは容易でした。架台の追尾精度が悪く、極限まで
じっくり追い込めなかったのは残念ですが。
ただ解像感が上がりすぎて、水平走査線はモニタ上でもしっかり見えていまして、それが最終結果まで残ってしまったシーケンス
もあります。去年もそうでしたが、次のようにRegistaxでデータをOptimizeをすると走査線が余計にしっかり見えるのはどう
いうことでしょう?





上は衛星が2つ写っていたもの(Optimize処理なし)と同じシーケンスを用いた2066フレーム合成です。
(後処理で木星像を水平に回転させておらず、撮像したままなので、平行線が水平走査線であることは明白ですね。
NexStar架台は自動追尾はしますが基本、経緯台なので写野の縦方向を天体の極軸と合わせると制御方向と写野の縦横が
ずれてしまいます。余談ですが。)

Optimizeしても選別条件が「全フレーム」なら位置合わせ情報などが変わるとは思えませんが、現実には差がある印象です。
fps設定は「掲示板のコーナー」ご常連のK&Rさんが最近お使いの、25fps設定あたりがベストだったかもしれません。
(今回の仕上がりが高コントラスト過ぎだとお感じになるなら、必ずしも高fps設定は必要ありませんが。)

ちなみに以下のシーケンスでは、Optimize処理なしでも、走査線がかなりはっきり出ました。Photoshopの「ダスト&スクラッチ」
フィルタで目立たなくすることはできました。(上が処理前で下が処理後)
ただあんまりやると詳細な模様も潰れてしまいます。科学写真であるという側面を考えると見映え追求のために過剰な補正処理を
するのも考えものでしょうね。







あまりに追尾精度が悪く片手がNexStar8iのコントローラの下と右ボタンから離せなかったので、ピント出しをとことん
追い込めなかったのが残念です。かなりのシーケンスを取得してから一旦、NexStar8iの電源を切り、9×50mm光学ファインダー
を持ち出してきて調整し、アークトゥールスとスピカの位置をしっかり検出してアラインメントをやり直しました。
それでも追尾導入精度はまだ安定せず、今度は架台の機構的な上下ガタが目立つようになり、写野への木星の再導入に手間取って
いる間に木星はベランダの屋根近くにかかっており、生活廃熱によって像は不安定になってました。こうなれば30fpsであっても
もはや極限までのピント出しはできません。(というか刻々とピントのベスト位置は揺れ動くので、位置を決定できません。)
なので仕上がりも再アラインメント前に比べてかなり甘いものになりました。(1930フレーム合成。)





画像を見る限り前回予想通り、高速PCを使ったほうが、同じ撮影に時間をかけるにも無駄にならない確率が上がりそうです(^^;)。
でも先立つものはありません(^^;)。羨ましいと思いながら「ピント出しは高速fpsで、撮影はPC性能に適したfpsで」をノウハウに
頑張って行きましょうか...。、木星以外は自転速度が遅いので、データ取得時間を長く取れそうにも思えますが、取得時間が長く
なると、それだけ気流の変化も取り込むことになりますので、悩ましいところです。

それにしても何故この夜のNexStar8i架台は不安定だったのか...。充電池の残量の影響かとも思いAC駆動もしてみました。
AC駆動しても充電池駆動の時と安定度に差はありませんでした。これがこの先の不確定要素の1つとなるなら、ちょっと頭が
痛い話になりそうです。

今回も木星周囲の青と赤の色にじみは認められます。今回は積極補正はしませんでした。
K&Rさんによれば大気分光の影響だそうです。去年は感じられなかったのは、主鏡の集光力の差の影響でしょうか....。
口径が大きくなった分、対象の輝度が大きいのできっと目立つようになったということなんでしょう。



○今シーズン初の火星!(2005/04/17明け方。2005/04/17速報。)


本当は先週末に頑張れば大シュルチスが同時刻にこちらを向いていて、視直径が6秒少しでも模様の検出に有利だったと思いますが
病み上がりからの快方にも時間がかかりましたので、無理をしませんでした。
ようやく今シーズン初の火星です。3時過ぎにはもう東南の地平線から昇って来ているのでした。この夜は木星をあきらめ、火星
だけに狙いをつけていました。というのは新PCのHDD容量が6シーケンス分程度のAVIしか無いので、木星を撮ってまた火星と
なると大変で、大赤班が当夜は裏側に回ってしまっていることもあり、あきらめたのでした。
本当は金曜日の夜、大赤班は東向きベランダからの時間帯条件にはぴったりでしたが、帰宅後に温度順応しているのでは間に合い
ませんでした。

視直径が10秒を切ると、2003年の火星とNexStar5ではもう模様の検出はできないかなあ、という印象でした。
当時はToUCam撮影も不慣れでずっと設定ディフォルトのQVGA(320×240pixels)で撮影してしまっていて、不必要に像が
小さかったのも、その傾向に拍車をかけてましたね(^^;)。
「銀次の部屋13」中段にその状態が残っています。
(ただし再処理した2003/12/03像のみ。2004/01/07像は正しくVGA記録になっています。)

今シーズンは口径が大きくなったので、視直径が10秒に至る前から模様の検出ができるかなあと期待しての出撃です。
ただ当面は空が明るくなるまでに火星も見かけ高度が20度にも至らない低空での撮影になりますから、口径が大きくなった分、
気流による像の不鮮明化は小口径時代よりひどくなるので、必ずしも口径が大きくなったので、もっと良い成果に至るとは
限らないのが、難しいところです。

今夜はNexStar架台の追尾精度は問題ありませんでした。が、火星の見かけ高度が低いために、鏡筒はほぼ水平になっており
この架台特有の上下方向のガタが、鏡筒+ToUCam一式の重量前後バランスによって、かなりシビアに影響が出ました。
眼視で視野の中央に火星を入れてアダプタとToUCamを取り付けるとガックンとバランスが動き、9×50mmファインダーの視野
においてさえ、火星はとんでもないハズレの方向に飛んで行ってしまっているという訳です。

まあこれは使い出した当初から仰角の度合いによって大小はあっても、ずっと出ていた現象で既に慣れていることではあります
ので、30分近くのだましだましの試行錯誤の末、ようやく狭いToUCamの写野に火星を導入して撮影を開始しました。
視直径は小さいものの、既に木星以上に単位面積あたりの輝度は高いようで、1/50~1/100秒のシャッター速度が切れました。
それでもPC性能のせいで15fps以上にフレームレートは上げられません。30fpsでピント位置を探りつつ15fpsで撮影しました。
ToUCamProII、LV8-24mmZoom(24mm位置と若干拡大位置)、NexStar8i、Registax2.1での撮影です。

速報で2シーケンス分を掲載します。が、後処理を丁寧にしてもきっと結果はあまり変わらないと思います。
2003年末にも記述していますが、視直径が小さいと気流の1粒子の揺れが対象の形状に与える度合いも想像以上に大きいと
いうことですね。フレームごとに火星像は伸びたり変形したりしてます。それを2000フレーム級の大データ量で平均化しようと
いうのが今回の試みでした。(順に2131、1763フレームでの撮影。無選別。)







なんとか模様らしきものが写っています。ただ本来この時刻には欠け際と逆の稜線(つまり惑星の周縁部側)ぎりぎりに
大シュルチスが見えようか、という状態の筈ですので、この模様または陰りは欠け際の階調に引っ張られて、薄い模様が
不必要に強調されて記録されてしまっているだけかもしれません。
「銀次の部屋8」中段の2003/09/26の火星と模様は同じような感じで、欠け際は逆になる訳です。
眼視では気流ブレの向こうにそのような印象が見えました。

眼視では「おー案外もう模様は見えているじゃないか」と思ったものでした。その印象以上には気流のせいで無理でも、
眼視程度には画像記録を残したかったですが、今回それに至らなかったのは残念です。
口径性能限界に近い2003年の最終画像でさえ、NexStar5での火星像の輪郭はしっかりとしており、口径が大きくなった分、
気流の影響を受けて、像の輪郭が不鮮明になるとしたら、やはりがっかりな感じがします。
シーズン中なら2、3日を置いて模様の見映えがよい部分は回ってくる木星や、いつでも模様の見映えが変わらない印象の
土星と違って、火星はなかなか見映えのよい模様が回って来ないために、更に気流条件との合致が必要となると、ヒットの
打率がかなり下がりそうに思える訳です。しかも最接近は気流が大荒れになり出す秋口でもあります...(^^;)。

まあ言っても仕方がありません。NexStar5はもうありませんし、土星、木星で蓄積してきたNexStar8iでのノウハウに更に
ノウハウを以降の木星と火星撮影によって追加して行き、より大口径になったメリットをうまく引き出して行くしかありません。
また遠い道程のようですね....(^^;)。でももう火星最接近は半年後です。うかうかしていると、しっかりした成果が出ないまま
あっという間に過ぎてしまうような気もします。

ちなみに今回は肉眼で火星は終始見えませんでした。光度は充分ある筈ですが、深夜とは言え、大阪の光害上の低空にあるのと
春霞のせいもあるのでしょう。NexStar架台の導入精度が当夜はよかったのと9×30mmファインダーではさすがに見えていたので
致命的な問題はなかったです。
ただ導入とピント合わせには苦労しました。ToUCamをつけて地上の燈火でピントを合わせておかないと、ピントが外れた状態では
火星は写野に入っているかどうかも分からないほどでした。これも単位面積あたりの輝度は充分あっても、視直径がまだまだ小さい
ために光量が拡散してしまうからなんでしょうね。見かけ光度が高くなってからも、5時前には薄明が始まったために結局、当夜に
火星は肉眼では全く確認ができませんでした。



○厚い雲中の「朧木星」。でも強行してみました。(2005/04/30。2005/05/01記。)


この夜は大赤班が東向きベランダで見える時間帯にちょうどよく、気流予想も絶妙でしたので、狙ってみる予定でしたが、
曇ってしまいました。それで「掲示板のコーナー」で断念文とお返事を書いているうちに、少し雲の中にうっすら木星が
見えてきたようだったので、NexStar8iをGPS Alignだけで基準星も何も合わせず全てNexStar8iの言いなりに「OK」した後、
9×50mmファインダーで木星を強制導入して追尾させました。いつもなら暴れ馬の架台が当夜は比較的安定して動いてくれ
ましたので、何とか生活排気の影響が出るまでに1シーケンス撮れました。

肉眼では厚い雲を通して木星がかすかに見える程度で他の1等星は全く見えませんでした。K&Rさんが「掲示板のコーナー」
で書かれていた「朧木星」状態そのものでした。そのためにきっちりしたアラインメントもできず、輝度も最大にして撮影しないと
データにならなかった訳ですが、輝度が全然足りずゲインを最大にしたために、後処理で色彩を復調した時には像はザラザラに
なってしまいました。Rad Video Toolsを使って取得AVIに対して輝度の後調整をしましたが目立った改善はありませんでした。





そのザラザラ感が目立たないように少し縮小しました。衛星が画像右下で木星に接していますね。





まだ効果が足りませんかね。科学的記録としては蛇足な処理ですが、少しぼかし処理を入れました。今回は「ダスト&スクラッチ」
フィルタより「ぼかし(ガウス)」フィルタのほうが自然で大きな効果を得ました。





かなり厚い雲中の木星でしたが、存外、雲の濃度にムラがなく、濃淡(輝度)は低い限界のまま、激しく変化はしませんでした。
なので、ここは1つ架台の導入や光軸の再調整がなくても撮影に入れるならば、やってみようと急遽決心するに至りました。
眼視では木星の輪郭は完璧に安定していました。

私のNexStar8i個体に限ってかもしれませんが、昨夜の機動性は奇跡的です(^^)。
いつもはGPS Alignをやってきちんと2つの基準星でアラインメントもしても、どうも最初の北を探すGPSに問題があるのか
NexStar8iが指し示す基準星の方位が大きくズレて、初期設定後の追尾も日によっては(夜によっては)まるで初期設定をして
いないかのように追尾視野から惑星が流れて行くことがあります。垂直方向にガクンとガタが出るのも、導入しにくいToUCam写野
への導入の後、ちょっとした微動で一瞬にして惑星がもう戻って来ない憂き目にあうことも度々です。
光軸がずれやすいのはもう周知の事実でして、事前に調整しても、苦労してToUCam写野に惑星を導入した後で何か光軸に不満を
感じてやり直しをすることがあります。そういうのを一切吹っ飛ばして昨夜撮影に入れたのは、もう奇跡的というしかなかったです(^^)。

眼視では輪郭が完全に止まって模様も結構見えてましたので、急遽の撮影強行となりましたが、結局NexStar5時代の平均的仕上がり
程度の成果となりました。この状況下ではベスト対応かもしれませんが、やはりこの雲がなければ、と思います。
度々「気流が安定していたなら」とか「大赤班がこっちを向いていたなら」とか「雲が邪魔しなければ」とかばっかり言ってます
ので、「それがなければ壮絶画像だったに違いない」とコメントするのも自分でイヤになって来ました(^^;)。
そろそろ大ホームラン級画像をゲットできる諸条件の成立を望みたいものです。さすがにそのベストの気象条件を迎え撃つ技術は
もう円熟できているかと思っています。



○今夜もダメ。木星。(2005/05/02。2005/05/03記。)


当夜はジェット気流予想は悪くなかったです。ですが夕方から気温が急に下がってきて良くない予感がありました。
五月連休中に東向きベランダから木星が見えている時間帯に大赤班が見えるのはこの夜と2005/05/07くらいなのですが、
2005/05/07は天気が悪い予想でしたので、前回と日は空いてませんが、撮影してみました。

悪い予感は的中し、気温が下がった分、予想よりは頭上にジェット気流がシフトして来ているのではないでしょうか。
眼視での高倍率確認では木星の輪郭はグニャグニャと脈動していました。せっかくこの夜は早めの準備をしていましたので
早めに撮影を開始して気流が一時的に安定するのを待つことにしました。





でもダメでした。一番気流がましな瞬間のシーケンスで992/1515フレーム選抜の結果です。15fps撮影で他は毎度と同じです。
シャッター速度はこの状況からできるだけ逃げるべく、1/100秒の設定にしました。が、結果はこんなものでした。
今回は光量は充分ありましたので高速シャッターでもノイジーな像にはなりませんでしたが、模様は曖昧ですね。
縮小して、ある程度のまとまり感は得ましたが、満足できる水準には程遠いです。まるで真冬の乱気流下での成果のようです。

準備にも手間がかかりますから、事前の眼視確認でダメだと思ってもなかなか撤収しがたいのでした。
特に大赤班がこっちを向いていて、ジェット気流予想も良好の夜には、自分の目で気流グニャグニャの木星像を見ても
「何かの間違いでは?乱気流は一時的なものでは?撮ってみたら案外良い結果になるのでは?」とか学習効果もなく撮影を
してしまうのでした。そういう夜に良いせいかがあがった試しはありません(^^;)。

もっと良い成果の夜の眼視の印象やダメだった夜のToUCamモニタの動画の印象を覚えておかないといけません。結構覚えて
いないというか主観が入ることなので、我田引水してしまうんですよね....(^^;)。
成功時の動画を後でみても実際の判断の時に希望的判断をしてしまうのが問題です。木星に限って言えば、少なくともToUCam
モニタに衛星が写っているかどうか、でおおよそ判断できるかなあ、とは今は思い始めているのですが....。

あと、大赤班が写ってないのは、どういうことでしょう...。ちょうどこのページの最上部の最高値木星像と同じような位相に
見えます。あの夜も「もう大赤班が出てもよい筈」とか思いながら結局、ベランダの屋根に木星が消えるほうが早かったのでした。
また「Jupiter.exe」のマップ表示と実際が少しズレてきたのかもしれません。表示より少し実際の出現が遅いとなれば、連休中に
他にも機会があるかもしれません....。







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